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【N高政治部】日本が目指すデジタル化社会とは?
平井卓也デジタル改革担当大臣に政治部が直撃!

 

N高政治部では、1月20日(水)に、デジタル改革担当大臣の平井卓也氏を講師としてお招きした特別講義を実施しました。

 

政府が2021年秋までに新設すると宣言している「デジタル庁」の動きを含め、これまでとこれからの日本のデジタル化について、25名の部員が直接ぶつけるさまざまな質問に、平井大臣が丁寧に答えてくださるという大変貴重な講義となりました。

 

講義はビデオ会議ツールZoomを使って行い、前半は生徒から事前に募った質問に大臣が答えていく形式でスタート。後半は5つのグループに分かれ、グループごとに直接質問をします。進行役は政治部特別講師の三浦瑠麗さんです。

 

 

とてもためになる情報を皆さんとも共有すべく、今回のブログでは、その内容をテーマごとにまとめてお伝えしたいと思います。

 

■デジタル化について

生徒からの「デジタル化によって社会から温かみが消えるのではないか?」という、不安とも言える質問に対し、平井さんの答えはこうでした。

 

「デジタル化は手段であり目的ではない。アナログな存在である人間が手段として活用し、幸せを感じられるがストレスにはならない、というところをデジタル化のボーダーラインにするべき」

 

また、社会の温かみというのはデジタルとは関係なく、人間同士の関係や社会の雰囲気の問題だと指摘。むしろ「デジタル化は人と人をつなげるもの」というオードリー・タン氏(※1)の言葉を名言として引用し、こんなお話も。

 

※1 オードリー・タン…台湾のプログラマーで、デジタル担当大臣を務める政治家。

 

「高齢者施設の中で気の合わない人と接するより、ネットで意気投合した仲間と24時間つながれる方が楽しいという人もいて、かえって温かみが生まれている。ネット特有の誹謗中傷など負の部分もあるが、デジタルが人を救う部分にフォーカスしたアイデアが増えていくことを願っている」

 

ここで三浦さんからは、アメリカの世論調査で「コロナ禍で自殺を考えたことがあると若者の25%が答えた」というデータを提示しながら、必要とするつながりが絶たれた時の政府の対応について見解が求められました。

 

これに対し、日本が目指すデジタル社会は「誰一人取り残さないこと」だと平井さんは言います。デジタル化により浮いたマンパワーを、情報弱者へのサポートへ充てるなど、デジタル化によるプラスの循環を見据えた推進を図っているそうです。

 

■マイナンバーについて

「学習履歴や成績をマイナンバーカードで管理する必要はあるのか?」という高校生ならではの質問が出ましたが、平井さんは「生徒が望む場合のみ」であると解説してくださいました。

 

「転校する際に、それまでの学習履歴をスムーズに移行できるというメリットがあり、誰かに管理されるという意味ではない。むしろ、紙で管理されている現状の方が、誰にどう悪用されているか分かりにくい。閲覧履歴が残るデジタル管理の方が安心感があるという考え方もできる」という話を聞いて、賛同する生徒が多数いました。

 

三浦さんは、「報道の仕方に唐突感があったため、みんな驚いたのかもしれません。情報というのは一部しか表に出ていないという気づきがありましたね」と補足。これは、政治部の特別講義ではいつも意識されるポイントです。

 

また平井さんは、マイナンバーは「税と社会保障と災害」の時に使えるものであり、それ以外のことには使用できないことを強調。マイナンバーカードが悪用されそうになったらICチップが壊れる仕組みになっているそう。

サイバー攻撃への対策としても、マイナンバーカードの情報は分散管理をしていて、芋づる式に情報を盗まれることはなく、あくまでも本人の許可がある場合のみアクセスできるようになっているとのこと。

 

しかしながら、日本ではプライバシーや私権の制限が難しかったり、把握されたくないという感情が強かったりするために、制度としての合理化が進んでいません。その状況を踏まえながら、デジタル庁では若いエンジニアやベンチャー企業の力を借りてセキュリティと使い勝手をシステム開発の最重要課題としてやっていくつもりだと平井さんは語りました。

 

■地方格差について

高齢化が進む地方などにおけるIT導入で意識していることを尋ねられた平井さんは、N高を例に分かりやすく解説してくださいました。

 

「N高で場所に制限されず勉強している皆さんのように、デジタル庁も雇用の際は日本全国どこにいてもよいと宣言している。リモートワークが普及した今、好きなところに住むという選択肢が増えた。人が密集する都市ではなく地方へ移住する人も増えるはず」

 

山形から参加する生徒から「体感では山形へ人の流入はない。仕事がないからだと考えている」とさらに聞かれると、

 

「会津若松や淡路島などに移転する大手企業が相次ぐ今、山形にもチャンスはある。企業誘致ではなく、山形で東京と同等の仕事をできる環境を作ることが大切なのでは」

 

とお答えいただきました。

生徒たちの将来は、働く場所を選ぶ基準は今より大きく変わっているかもしれません。

 

■オンライン投票について

「オンライン投票を推進すれば、投票率が上がるのでは」という生徒からの意見がありました。これについて平井さんは、実際にオンライン投票を行っているエストニア共和国の興味深い事例を挙げながら自身の見解を述べました。

 

「エストニアは雪深い国なので、高齢者など外出を不便に感じる人たちにとってオンライン投票は喜ばれたが、若い人の投票率が上がったわけではない。若者の投票率を上げるのは、オンラインもアナログも関係なく、魅力的な政治家や政策である」

 

これには「確かに」とうなづく生徒も多く、政治の本質がデジタル化とは別にあることを改めて感じました。

■デジタル化と企業の生産性

リモートワークや密回避の必要性により、情報通信技術が進歩した昨年、一部の企業は大きく生産性を向上させましたが、総体としては伸び悩んでいる印象に疑問を抱いた生徒からは、「技術革新によってGDPが向上する効果はあるはずだが、企業の生産活動においてまだその効果が出ていないだけなのか?」という問いかけが。

 

 

平井さんはその答えを「アフターコロナにおける潜在成長率(※2)の問題」と位置付けます。

 

※2 潜在成長率…資本、労働力、生産性の3要素から算定される中長期的に持続可能な経済成長率。

 

「アメリカや中国に比べると日本は回復が遅く、サービス業を中心に生産性が低いというのは認めざるを得ない。その要因として、今までのやり方を変えるような踏み込んだデジタル化に消極的な経営者が多かったことがある。マインドセットを変える必要がある」

 

日本には基盤技術はあるのに、ビジネスモデルを考えて今と違うことを始めるのが苦手な人が多かったようです。しかし、平井さんが接する若手ベンチャーの人々には、コロナをチャンスに変えてやろうという意気込みが感じられ、そういう人たちと仕事をするであろうこれからの高校生がうらやましいとも話してくださいました。

 

この他にも、たくさん寄せられた質問に分かりやすい言葉で詳細な説明をしてくださった平井さん。デジタルを身近に感じている若い世代にとっても、それが及ぶ社会のさまざまな側面に深く触れることができ、これからの働き方や生き方を改めて考えるきっかけにもなったと思います。最後にいただいた平井さんからのメッセージにあった、

 

「デジタル庁がうまく機能すれば、我々と親和性の高いN高生の可能性も広がる」

 

という言葉はとてもありがたく、部員たちの意欲を刺激してくださいました。

平井大臣、誰もが聞きやすく有意義な講義を本当にありがとうございました。

 

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