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【N高政治部】日本共産党委員長 志位和夫氏に聞く
「資本主義を乗り越えた社会」とは

【N高政治部】日本共産党委員長 志位和夫氏に聞く 「資本主義を乗り越えた社会」とは

 

N高政治部では、2月17日(水)に、日本共産党 志位和夫委員長を講師にお招きした特別講義を実施しました。

ビデオ会議ツール「Zoom」を使用し23名の部員がリモートで参加し、ニコニコ生放送で一般の方にも視聴していただきました。

 

我が国に現存する政党では一番長い歴史をもつ日本共産党において、20年以上委員長を務める志位さんに、若い世代の率直な疑問や意見をぶつけるべく、講義は生徒からの質問に沿って、政治部特別講師である三浦瑠麗さんとのトークと共に進んでいきました。

 

今回のブログでは、終了時間ぎりぎりまで続いた濃厚な講義内容を、テーマごとに整理してご紹介したいと思います。

 

■資本主義について

今回の講義を通して、志位さんが一貫して主張していたのは「脱・資本主義」です。特に、新型コロナウイルスによるパンデミックの中で浮き彫りになった資本主義の矛盾が、大きく2つあると語ります。

 

①貧富の格差の拡大

日本の富裕層(億万長者)がコロナ禍で資産を約2倍に増やしているというデータを挙げながら、一方で学費が払えない学生や失業者などの困窮者の増加を指摘し、それが資本主義の現状だと嘆かれました。

 

②地球環境の問題

コロナを含め、この30年で約30の新しい感染症が出現していることに触れ、これが人間の経済活動による自然や生態系の破壊に原因があるとし、さらに深刻な問題として気候危機を指摘。

 

「資本主義によってもたらされた人類の進歩はたくさんあるが、これらの問題を考えると多くの人の不幸の上に巨大な富が築かれるシステムである資本主義は見直し乗り越えるべきだ」

 

と語り、世界的には社会主義の時代がきたという考えを明示されました。

これに対する三浦さんのまとめとして、

 

「富裕層ばかり儲ける仕組みとして政府による私権の制限と株高があり、“資本のマネーゲーム”で稼ぐ部分はほとんど打撃を受けないが、例えば料理人のようなリアルな経済活動を行う人には影響がいく構図になっていて、日本経済に活力があるというよりは、金余りによる資産増が生み出す格差だ」

 

という点も大変興味深いものでした。

この後もコロナ禍によって政治の在り方を見直すテーマが続きます。

■コロナ禍における経済被害と公共の福祉

コロナによる失業者への手当てについて意見を求められた志位さんは、

「規模の大きい店には不十分。ヨーロッパのように、事業規模に応じた給付が必要」

とし、中小企業を支えた「持続化給付金」と「家賃支援金」についても、1回しか給付されないことを問題視。

 

「緊急事態宣言を出しながら給付金は出さないというのはひどい。第二弾を出すよう野党は要求している」

と、自粛と一体で保障を行う必要性を強く訴えました。また、

 

「コロナ禍では、『公共の福祉を守るため』がさまざまな口実に使われた。これは憲法にある『幸福を追求する権利』に関わる重要な論点であるにも関わらず、いとも簡単に主権が制限できた」

 

という三浦さんの見解を、志位さんは擁護。

 

「憲法における公共の福祉とは、一人ひとりの権利を守っていくこと。そのために自粛要請などを行うべきで、国が勝手に権力を国民に押し付けてはならない。だからこそ、要請と共に保障がないと権利は守れない」

 

さらに、市町村をなくし300ほどの自治体で日本を形成する「道州制」についての意見を問われた際も、コロナ禍で顕在化した自治体・公共施設・公務員の不足による病院や保健所の疲弊を指摘し、

 

「これ以上の合併は避け、できるだけ小さい自治体できめ細かな住民サービスを提供していくべき」と反対の姿勢を見せました。

 

続いて、国際社会に対するテーマに触れていきます。

 

■憲法と自衛隊について

「自衛隊は憲法違反」という立場をとっている日本共産党。生徒から「実際に国民が安心だと思えるような具体案を教えてください」という質問が。これに対し志位さんは緊急にやるべきことを2つ挙げられました。

 

①安保法制をなくし、集団的自衛権を使えないようにする

「2014年から2015年にかけて安保法制ができ、集団的自衛権の行使が可能になった。それによって自衛隊と米軍が一緒に海外で戦争ができることになり、これは最も阻止したい危険」とし、野党共闘で元の法制に戻そうと訴えているとのこと。

 

②北東アジアに平和の地域協力の枠組みを作る

ASEANには東南アジア友好協力条約(PAC)というものがあり、すべての紛争問題を武力行使ではなく話し合いで解決するというルールが決まっているそうです。

 

「そのために、域内の会議は1年に1,000回やるそう。それだけ話し合いを重ねるとお互いを信頼できる。こういった平和協力の枠組みを、日本・韓国・北朝鮮・中国・ロシア・アメリカ・モンゴルあたりで作りたい」

 

■中国との関係について

北東アジアに地域協力の枠組みを作るという展望に対し、三浦さんからこんな質問がありました。

 

「志位さんの世界観というのは、共産主義vs資本主義や民主主義vs全体主義といった冷戦的なものではなく、相互に介入せず主権を尊重するというものだが、そこに立ちはだかってくるのが中国。同じ共産党をもつ国だが、日本共産党は強く批判の立場を示しており、どういう感覚を持っているのか」

 

これに対し志位さんは、中国の覇権主義および人権侵害を問題点として挙げながら、

 

「これらはもう内政問題ではなく国際問題。だからこそ面と向かって『それは国際法違反だ』と是正していくことが必要。中国が軍事で構えてきたら軍事で応えようとしても、軍拡競争になるだけ」

 

と持論を展開しました。話し合いが難しいと思われる相手に国際法違反を唱えるのであれば、私たちにも国際法のしっかりとした理解が必要だと考えさせられる場面でした。

 

■目指す日本社会

他にも、部員たちからはさまざまな質問が寄せられましたが、どの回答においてもその先にある、目指す日本社会の姿を志位さんはこう語りました。

 

「誰でも、8時間働けば暮らせる社会。労働時間の短縮により、すべての人が自由な時間を持つことができ、能力を発展させ社会に活かすことができる。一人の発展が万人の発展に繋がり、社会全体が豊かになる」

 

労働時間の短縮を実現するには、人間の搾取と浪費社会を一掃すること。社会の構成員がみんな同等に働くことで一人当たりの労働時間が短くなり、大量生産・廃棄をなくすことで生産力が高まるというお話でした。また、そういった改革のすべてのステップにおいて決定権は国民にあると「国民主権」を強調されました。

 

三浦さんからは、「テクノロジーやAIの発展によっても必要な労働が極小化され、新しい人間像が生まれるかもしれない。ただ、例えば介護職が必要とされる中で、やりたい若者が出てこないというようなニーズと担い手のギャップがある場合はどうするのか」

という感想があり、実現までに具体的に決めていく事項はたくさんあるのだと気づかされました。

 

講義の最後にいただいた部員に向けたメッセージで志位さんは、マルクスが高校生の時に書いた論文に言及し「最大多数の人を幸せにした人が最も幸せな人だ」という格調高い決意を語っていることを紹介。他人を幸せにすることが自分の幸せに感じられることが大切だと伝えてくださいました。

 

目指す展望をはっきりとさせながらも、優しい口調で最後まで穏やかな雰囲気の講義をしてくださった志位さん。

部員からの多少突っ込んだ質問にも真剣にお答えいただき、三浦さんとのかけあいの中から学ぶことも多々ありました。

 

貴重な講義を本当にありがとうございました。

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