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数理の翼「伊計島セミナー2022」が開催されました

 

8月21日~24日の4日間、N高等学校沖縄伊計本校にて「数理の翼 伊計島セミナー 2022」が開催されました。

 

参加した19名の中高生は、情報オリンピック(IOI)などの「国際科学オリンピック(世界中の中等教育課程にある生徒を対象にした科学技術に関する国際コンテスト)」で優秀な成績を収めるなど、数理科学に高い関心を持つ、全国から招待された中高生たちです。

 

伊計島セミナーを主催するNPO法人『数理の翼』は、“数学のノーベル賞”と呼ばれるフィールズ賞の受賞者である広中平祐ハーバード大学名誉教授が開催したセミナーがきっかけとなって生まれたNPO法人です。

 

これまで40年以上にわたって行われてきたセミナーの参加者からは、数理科学の第一線で活躍する研究者も数多く輩出されています。

 

今回、4年ぶりにN高沖縄伊計本校で開催された伊計島セミナーにも、灘高等学校、渋谷教育学園渋谷高等学校といった名門校から参加者が集まるなか、N中等部・N/S高等学校からも5名の生徒が参加しました。

 

数理の翼のセミナーの大きな特徴は、第一線で活躍する研究者の方からのハイレベルな講義。今回の伊計島セミナーでも、超高校級の、参加者たちにとって刺激に満ちた講義がいくつも用意されました。

 

また、数理の翼のセミナーのもうひとつの大きな特徴は、毎晩行われる「夜ゼミ」です。

「夜ゼミ」は夕食後から就寝時間までの間、参加者が自主的に主体となって行えるゼミで、参加者たちは日ごろ関心を持っている話題についてたっぷりと議論することができます。

 

今回の伊計島セミナーでも、参加者や講師・大学生スタッフも交えてのディスカッションが行われたり、昼の講義の疑問点について参加者同士が教えあう姿が見られました。

 

2日目からは、いよいよ講義が始まります。

 

【講義1】 

2日目の午前に行われた最初の講義は、東京大学生産技術研究所で准教授を務める松山桃世先生によるワーク形式の「最新技術の使い方を決めるのは、あなた」でした。

 

あえて嚙み砕いたタイトルは、日本科学未来館で科学コミュニケーターを務めていたという異例の経歴の持ち主である松山先生ならではです。「無駄に難解な言い方が多いのが科学界の良くないところ」という言葉通り、非常にわかりやすい語り口で講義が進んでいきます。

 

今回のメインは松山先生が開発された「ひみつの研究道具箱」というカードゲームです。

参加者たちにとってはいきなりのグループワークとなりましたが、次々と柔軟なアイデアが生まれます。

またそれに対し各自が「賛成・反対」を自分の考えに基づいてはっきり主張していく様子は見ていて非常に頼もしく、このセミナーのレベルの高さを感じさせる幕開けとなりました。

 

 

【講義2】 

続いて行われたのは、法政大学経済学部教授であり、財務省の財務総合政策研究所で上席客員研究員、キヤノングローバル戦略研究所で主任研究員なども務める、小黒一正先生による講義「経済学と数学の狭間」です。

 

経済学の世界において、数学が役立つ場面は多くあります。そのひとつが「ドーマー命題」です。

これは「名目GDPの成長率が一定の経済で財政赤字を出し続けても、財政赤字対GDPを一定に保てば、債務残高GDP比の比率は一定値に収束する」というものです。この命題を用いれば、名目成長率と財政赤字のGDP比から、政府の債務が数年後にどの程度まで膨らむのか予想できると先生は言います。

 

この例のように、研究者が数理的に考えたことを政策にどう反映していくのか。

これを考えていくのもまた研究者の醍醐味であると締めくくられました。

 

内容的には非常にハードなものでしたが、講義後に行われた夜ゼミまで先生に食らいつく参加者たちもおり、彼らにとっては大きな出会いになったようでした。

 

 

【講義3】

3日目の午後は「数学特別講義」です。

「現代数学における仮想と現実」を共通のテーマに、3名の講師の方々に自身の研究分野についてリレー形式でお話しいただきました。

 

まず1人目は、東京工業大学理学院数学系の教授を務めるかたわら、角川ドワンゴ学園でも「ガロア理論」などの講義をご担当いただいている加藤文元先生です。「空間とはなにか」という大きな話から始まり、圏論の考え方をお笑い芸人「ミルクボーイ」の漫才に例える独特の解説も交えながら、専門である「非アルキメデス的幾何学」について解説していただきました。

 

続いて2人目は、名城大学理工学部で教授を務める前野俊昭先生です。

はじめに「有限数学」の難しさ及び研究の手法について語っていただいたあと、本題の組み合わせ論について、組合せ的多項式を経由することで背後に「バーチャルな構造」が見えてくることがあるという事実を、チェビシェフ多項式を例にしながらお話しいただきました。

 

最後の3人目は、長浜バイオ大学教授の西郷甲矢人先生です。

確率的であることが知られている量子現象ですが、その枠組みは古典的な確率論を超えてしまいます。そこで登場するのが先生の専門でもある「非可換確率論」です。さらにそこから関連して「圏」や「量子場」などの話につながっていく様子を披露していただきました。

 

今回のリレー講義は本格的かつ専門的な数学の講義となり、内容を理解するのはいかに数理科学への造詣が深い参加者といえど簡単ではなかったはずです。ただ講師の方々が、自身の武器を用いることで数学の世界をより広く見通そうとしていること、そしてその営みに大きな熱量を注いでいる様子を肌で感じられたことは、参加者にとって貴重な経験になったことでしょう。

 

【体験企画】 謎解きゲーム

講義の合間である3日目の午前には、体験企画として謎解き推理ゲームが行われました。

ミッションを達成するためには、クロスワード型や数式型の暗号、化学の実験など様々な謎解きをクリアする必要があります。

 

企画を準備したスタッフ陣は、セミナーOBで現在も数理科学分野で研鑽を積む大学生たちです。彼らが全力を注いだ謎は一筋縄では解けません。それでも参加者はグループのなかで各自が得意分野を活かしながら謎解きを進めていきました。制限時間内にチームであれこれ話し合いながらミッションに立ち向かうことで、参加者たちの一体感も増した体験企画となりました。

 

ここまで紹介した以外にも、朝の散歩や焼肉ディナーなど、内容たっぷりの充実した4日間となった伊計島セミナー。

 

最初はぎこちなかった参加者たちも、互いに敬意を持ちながら、いつしか気軽に議論ができる仲間となっていき、最後に別れを惜しむ姿はとても印象的でした。

 

ここで得られた仲間や経験は、これからの人生の様々な場面で活きていくことになるでしょう。

 

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