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【職業体験】山形県小国町の大自然で「マタギ」を学ぶ

【職業体験】山形県小国町の大自然で「マタギ」を学ぶ

 

2018年の授業が始まって間もない1月11日~1月15日の5日間、山形県小国町に広がる大自然の中で、普段の生活ではなかなか触れることのない「マタギ」体験を行いました。

 

 

N高等学校では、職業知識を手に入れるだけではなく、交流を通してライフスキルを身に付け、将来への気づきを得られる職業体験プログラムを全国各地で開催しています。

今回は6名のN高生が山形県小国町小玉川地区にて「マタギ」体験を中心にコミュニティでの交流に挑戦しました。

 

山形県の南西部、新潟県との県境に横たわる飯豊山。

今回の職業体験の舞台、山形県小国町は飯豊連峰などの山々に囲まれている緑豊かな町です。

 

少子高齢化や人口流出などにより、域内人口が徐々に減少している小国町ですが、半導体部品メーカーなど第2次産業は強く、「白い森まるごとブランド構想※」を推進して住民の満足度や交流人口増加に力を入れています。

 

また、各集落内の住民の結びつきと来訪者の受け入れを両立している町でもあります。

 

※「白い森まるごとブランド構想」…

地域資源や暮らしやすさなど、町全体をブランド化し、小国町の認知度向上と地域経済の発展を目指すプロジェクト。

プロジェクト参考サイト:http://www.town.oguni.yamagata.jp/data/tell/magazine/2018/P0207.pdf

 

 

「学びと訓練への挑戦」

 

小国町でのマタギの歴史は400年とも800年とも言われており、山の神への信仰と密接に関わっている文化の1つです。

昭和30年代までは、マタギを専業の生業としていました。

 

 

「産業の発展と共にマタギは職業から、集落での役割に。そして文化へと変遷を重ねてきました」

 

そう語るのは、マタギの頭領である舟山研一さん。

生徒たちは舟山さんからおそよそ2時間の講義を受け、マタギや町の歴史を学びました。

 

普段の生活からかけ離れた環境に興味津々のN高生一同。

猟銃に興味がある生徒、生物の生と死に関心がある生徒、宗教と文化に興味がある生徒、雪や山の自然に興味がある生徒…。質疑の時間では、生徒から多くの質問が飛んでいました。

 

雪山に入るには準備と訓練は欠かせません。

舟山さんの話やwebでの事前調査などで、雪山では「かんじき」が必要という知識をN高生は持っています。防寒具の知識も持っています。

しかし、頭でわかっていることと、実際に行動ができるかは別です。

 

マタギの先生たちが培ってきた先人の知恵をOJTで教わりながら、訓練をしていきます。

 

「ウサギ狩りへの挑戦」

 

マタギ体験では「巻き狩り」という手法でウサギ狩りに挑戦しました。

 

雪山の扇状の谷。

下手側の弧から勢子(せこ)と呼ばれる声出し役がウサギを追いたて、山手側の中心角にあたる上部で鉄砲隊がウサギを待ち構えます。

谷は上下に500mほどの距離。3日目の巻き狩りに備えて、2日目は民宿の裏山で200mの雪山散策トレーニングを2時間ほど行いました。

 

深々と降り積もる雪。

人里から離れた雪山には身長よりも高いおよそ2mの新雪が積もっています。

「かんじき」を履いても膝上まで埋もれ、場所によっては胸元近くまで雪に埋まってしまいます。

 

N高生は「ほー。ほーりょ」と掛け声を上げながら、15人の勢子は弧形を維持して雪山を一歩一歩進んでいきます。

誰かが遅れれば、そこからウサギは逃げてしまう…。

自分に与えられた役割を全うするために、お互いを見合いながら呼吸を合わせて進みます。

 

「パァン!」

 

開始2時間後に鳴り響いた銃声。

しかし、残念ながらウサギは獲れませんでした。

 

寒波にあたり雪が降り続けた5日間。

ウサギが穴から出てくるには条件が悪すぎたようです。ウサギが獲れなかった事実への無念の言葉が漏れます。

ですが、氷点下の中、汗をかき、苦しみながらも雪山に挑戦したN高生の表情は晴れやかでした。

 

「諦めずに最後までやり通せた」

 

ある生徒が発したその言葉に、他の生徒は静かに、しかし力強く頷きました。

 

「小正月の地域祭りに挑戦」

 

小国町では、山神信仰が文化として残っており、集落の横のつながりの中心には山の神への信仰があります。

マタギはその山の神と集落の住民をつなげる役割も担っています。

 

年明けのこの時期には、豊穣と健康を祈願する小正月のまつり「さいず焼き」を地区ごとに行なっています。

今回のマタギ体験では、小玉川地区の「さいず焼き」に参加させていただきました。

 

藁の塔の設営から手伝い、地区の住民のみなさんと交流を重ねる生徒たちました。

藁の束をトラック一杯に積み込み、木の棒を中心に2時間かけて積み立てます。

次に火をたて、書き初めをその煙に載せます。

 

「中心の木の棒が倒れた先のお宅は子宝に恵まれる」

「さいず焼きの火で焼いた餅を食べると虫歯にならない」

 

そんな脈々と受け継がれる伝統と共に、火を見つめながらN高生は自分の夢を語らいます。

 

「小国町ツアー作成に挑戦」

 

期間中は雪山散策トレーニング、マタギ頭領への質問、ウサギ狩り、さいず焼き設営。

地域の様々な行事に参加しながら、毎晩グループワークに挑戦しました。

来訪者から見た小国町の魅力。集落の中に入り込んだからこそ見えてくるものがあります。

今回は成果物として小国町へのツアーを企画しました。2班に分かれて毎晩数時間に亘るグループワークを重ね、2つのツアー企画を提案しました。

 

 

「解き放て ジビエ愛」

「集まれ!モゾモゾの森」

 

 

「解き放て ジビエ愛」班は…

専門学校生など「食の世界」に飛び込もうとしている人達をターゲットとしました。

自分で食材を獲って、自分で料理をする。料理家として食の原点を考えさせてくれるツアーです。

 

「集まれ!モゾモゾの森」班は…

病気ではないが、メンタル面で課題を抱えている人たちをターゲットとしました。

参加者が実感した小国町の人々のあたたかさ、自然の厳しさ、住民のみなさんが持つ自分なりの生き方。

あたたかみのある小国町で悩みを吐露し、気持ちを少しだけ軽くしてくれます。

 

 

最終日は小国町役場にて、このツアー企画を仁科町長をはじめ地域のみなさんにプレゼンしました。

 

 

挑戦したN高生は…

 

ー関東エリア在住女子生徒ー

自分じゃない誰かと自己をとことん見つめ直すことによって、マタギ体験のひとつのテーマとなる「命の大切さ」を考えることに深みが増したと思いました。

そしてその時間をひとりじゃなく同年代のみんなと共有することで、生活の中で優しい言葉のやりとりとか気遣いとか思いやりにすごく溢れていることにあらためて気づきました。

そういうあたたかなものをもっと自分に向けてもいいんじゃないかと思えるようになりました。

また、様々な人とコミュニケーションを取ることで、自分が思ってもみなかった長所や短所を知り、それに対する工夫みたいなものを面談後意識的に行うことで、今後生きていく上での術や武器みたいなもののヒントが得られたのがよかったなと思いました。

今までより、ちょっとずつでも自分を好きになって、今後少し生きやすくなれる、そんな経験になったと思います。

 

 

ー九州沖縄エリア在住女子生徒ー

案外、人とのコミュニケーションを怖がる必要はないということ。

全ての人が私を攻撃するような人ではない、とっても優しくてあたたかい人々も居るということが分かった。

今後はこれまでより、人と関わっていく機会を作っていきたい。

また、命の大切さも改めて実感することが出来た。マタギの方々は動物たちをただの食料だからといわず、命への感謝を大切にしている。

本当に素晴らしいこと事だと人間として見習うべきだと思った。小国町のみなさまのおかげで、「苦手なことから逃げよう」などという考え方が大きく変わりました。

みなさまとお話したり、色々なことを教えていただくなかで人の優しさ、あたたかさに触れ、気がつき思い出すことがことが出来ました。苦手なコミュニケーションに少しずづつでも慣れていこう、挑戦していこうと思います。

本当にありがとうございました。

 

 

4泊5日に亘る小国町でのマタギ体験。

 

自然の厳しさ、美しさ、人々の温かさ…。

今回の体験で得たものは、N高生を更に輝かせるかけがえのないものでした。

 

この経験を胸に、様々なことに挑戦してくれることを期待しています。

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