KADOKAWAとして、教育事業をやる意義とは
僕らなら「生徒が誇りを持てる」学校をつくれる
僕らなら、このN高をものすごく有益で、かつ魅力ある学校にできる可能性があると考えました。 一番、大きなことは、ニコニコ動画で培ったドワンゴの技術が双方向授業システムに活かせること。 従来の教育、 一斉授業は学習効率が悪すぎます。時間も場所も制約があるし、生徒一人ひとりの理解度にも合わせられない。いつでもどこでも、コンピュータとネットを使って双方向の個別授業をやった方が、質の高い勉強ができます。
学校に通わないでネットで学ぶ、というのはむしろ時代に合った最先端の学習方法なんです。双方向で行う授業の方が学びが深まり、しかもこの「双方向」はすでにニコニコで実現している得意分野。だから、僕らがやる意義があるんです。
ネットを使った双方向授業システムというのが未来の教育の核になるのは間違いありません。ただその一方で、現代日本の価値観では、通信制高校というのは普通高校に行けない生徒が行くところという先入観が、親にも生徒にも、まだまだ強い。だから生徒たちも前向きな気持ちで通信制高校に行くことがなかなか難しい。
僕らがN高をやる意味があると思うのは、 生徒が親や世間に対しても前向きな選択として、堂々といえる、そういう通信制高校をつくれると思ったからです。 まず、双方向授業システムは世界でも最先端の仕組みを作れる自信があります。さらに、僕らはさまざまなエンターテインメントを扱うビジネスが本業でもあります。生徒が将来の自分の職業にしたいと思って憧れる様々な仕事への直接の接点を生徒に提示できるポジションにあります。
ドワンゴにもKADOKAWAにも、現代の若者にとって魅力的なコンテンツがたくさんあります。 人気のライトノベル作家やイラストレーター、そして現役の編集者が、じかに創作技術を教えてくれる。そんな授業ができるとしたら、受けてみたいですよね。
N高の教育方針とは
気休めでも励ましでもなく、世の中で戦える武器を
N高は、具体的な「結果」を重視することにしました。
N高が生徒に提供したいのは、気休めでもなく励ましでもなく、もっと実際に役に立つ、 世の中で戦える武器です。それらを手に入れられるよう、すべてにおいて実践的な授業プログラムをつくりました。武器を手に持ち、自分の人生を選択できるようになってほしい。手に職があって食っていけるというのは、社会に居場所ができるということだと思います。学校での居場所、社会での居場所、それらができるのがN高なんです。
大学受験を目指したっていい、手に職をつけたっていい、どちらも充分な手段をN高は提供したいと思います。東大合格者数を競う受験戦争が必ずしも正しいとは思いませんが、世の中の価値観がそうである部分が多いのであれば、それにだって、僕らは結果を出すつもりです。でも、それだけではない。スタンフォード大学のサマースクールへも、毎年、N高生を送り出す仕組みをつくりました。これからは大学の選択肢だって、どんどん多様化していくはずです。
プログラミング授業も実際のIT企業で即戦力になるということを目標にカリキュラムをつくっています。ライトノベル講座だって、有名な講師を呼んできて話を聞くだけじゃなく、できるだけ 体系だった創作論を探し出すこと、ちゃんと自分の作品を現役作家、編集者に講評してもらえることにこだわりました。
また、そもそも、人生でなにをしたいか、ほとんどの高校生が分からない、という現実もあります。そこで、職業体験の仕組みも充実させました。地元の自治体にも協力していただき、N高の職員たちと手作りの企画で、5日間の泊まり込みで実際の「仕事」を体験してもらいます。本当の社会、本当の現実を知ってもらうことが、体験した生徒の人生観を変えることになります。
生徒の人生を本気で、願わくばいい方向に変えてあげたい
生徒の人生を本当に変えてあげたい。願わくば、いい方向に変えてあげたい。教育では経験の少ない僕らですが、たぶん、この方法で変えるのであれば、大きく変わる、そしてたぶん悪い結果にはならない。そう、信じられる方法を荒削りなやりかたではありますが、ひとつひとつ模索しているのです。
そんな僕らといっしょに「未来の普通の学校」をつくりませんか?