
今年も、13日間にわたるオックスフォード国際教育プログラム「オックスフォードサマープログラム」をイギリスにあるオックスフォード大学で実施しました。
この短期留学は、グローバルに活躍できる人材の育成を目指し、提携校と連携して毎年夏に開催しています。今年も選考を経て選ばれた16名の生徒が、現地での学びと貴重な体験に挑みました。
その充実したプログラムの様子をお届けします。
プログラム概要
期間:2025年7月27日(日)〜8月8日(金)
参加校:茨城県立土浦第一高等学校、茨城県立下館第一高等学校、慶應義塾湘南藤沢高等部、灘高等学校、N高等学校・S高等学校・R高等学校(N高グループ)
N高グループからの参加者:16名
プログラムの日程(13日間)
7月27日(日):羽田空港集合・出発式〜深夜便で出発(ドバイ経由)
7月28日(月):ロンドン・ヒースロー空港到着〜オックスフォードへ移動
7月29日(火)〜8月1日(金):授業(OISC)・アクティビティ
8月2日(土):ケンブリッジ市街観光(OISC主催)
8月3日(日):ロンドン市街観光(班別自由行動)
8月4日(月)〜6日(水):授業(OISC)・アクティビティ
8月7日(木):最終プレゼンテーション〜ロンドンへ移動・出国
8月8日(金):羽田空港到着・解散
※OISC:Oxford International Study Center(プログラムの共同主催機関)
https://www.oxintstudycentre.com/
事前オリエンテーション・交流会
渡航前に、オンラインで全3回のオリエンテーションを実施。心構えや注意点を確認し、自由行動班の計画作りも行いました。
最初は緊張していた生徒たちも、自己紹介やグループワークを通じて次第に打ち解け、笑顔が広がりました。
また、準備や持ち物確認も丁寧に行い、安心して出発日を迎えられました。

羽田空港での“リアル初対面“
出発当日、参加者たちは初めてリアルで顔を合わせました。オンラインで仲良く話していた相手でも、実際に会うと少し緊張した様子でした。出発式では、一人ひとりがプログラムへの想いと目標をスピーチ。短い言葉でも真剣な気持ちが込められ、互いに刺激を受ける時間となりました。
その後、夕食を共にし、チェックインを済ませて搭乗。飛行機に乗る頃には自然に会話も増え、すっかり打ち解けた雰囲気になりました。


ロンドンを経て オックスフォードへ
約20時間のフライトを経てロンドン・ヒースロー空港に到着。生徒たちは期待に胸を膨らませながら、貸切バスでオックスフォードへ向かい、歴史と伝統が息づく街並みに歓声を上げました。
プログラムの宿泊先はオックスフォード大学のカレッジのひとつ「Lady Margaret Hall」。ノーベル平和賞を史上最年少で受賞したマララ・ユサフザイさんも学んだ由緒ある場所です。
到着初日から豪華なディナーで歓迎され、生徒たちは長旅の疲れも忘れて学生寮生活に胸を躍らせました。窓の外には広大な芝生やスポーツ広場もあり、生徒たちは異国の仲間たちと交流する空間としても活用しました。


1日の主な流れ

基本的に授業はOISCで実施。初日はオリエンテーション、最終日にはプレゼンテーションと修了式が行われました。
授業について
OISCでの授業は、アカデミックスキル習得に加え、国際感覚や幅広い教養を養う目的で行われます。自然環境、ビジネス、アート、建築、ディベート、プレゼンテーション、エッセイ作成など多岐にわたる科目を展開。生徒たちは意見を求められる参加型授業で「英語で学ぶ」経験を積みました。OISCの教授からは「非常に積極的で意欲の高い生徒たち」と評価をいただきました。
授業例①:Public Speaking & Presentation:The Oxford Union Debating Workshop
オックスフォード大学の卒業生である教授からディベートの歴史とスタイルの授業を受けました。情報収集、文章の組み立て、反論の考え方などを学び、実践では即興で質問や反論を行いました。
授業例②:Critical Thinking and Problem-Solving Skills
実際の例題(数学や、とある2者間の言動)を用いて、表面的に見えているもの、聞いているものだけが果たして本当に”正”なのかという議論を行いました。
ペアでの対話型議論で、生徒は語彙力を駆使しながら意見を伝えあう様子が見られました。
授業例③:Essay Writing
大学での論文(Essay)について、書き方のルールや手順について講義を受けました。最後には、複数の生徒からEssayの書き方について数多くの質問が先生に投げかけられ、活発な意見交換に基づいた実践的なスキル習得の授業となりました。
<質問例>
・参考文献は段落ごとに入れるべきか、Essayの最後にまとめるべきか
・同じ語彙を重複して用いない方が良いか
・グラマーチェッカーを用いても良いか など
授業例④:Branding and Business Planning: Group Workshop
ブランディングについて考えるにあたり、ブランドに関して購買意欲の源泉は何か(本当に自分が好きなのか、または周りが好きだから好きなのかなど)について議論し、考えを深めました。導入として、自分の好きなブランドに関してどこが好きなのか5つ挙げて意見を共有しました。その後、実際の商品を例に、そもそも商品とは何なのか、ブランドとは何なのかという基本的な概念や、新しい製品が完成し販売されるまでの手順についても学びました。
授業例⑤:Art and Architecture
アートと建築に関する対話型の授業。まず、絵画に関して日本と海外を比較し、色味や線の違いなどについて意見発表し、議論を交わしました。また、同じヨーロッパの絵画でも具体的に何が違うのか、同じような建築物でも国による相違点や類似点について意見を交わし、多面的なものの見方を養いました。

生徒の感想
- 「英語でディベートを準備し、実際に討論する経験は初めてで、英会話の面白さを改めて感じました」
- 「短時間で意見をまとめ、質疑応答を英語で行うのは緊張しましたが、自信と達成感が得られました」
アクティビティでオックスフォードの街で学ぶ
Ashmolean MuseumやOxford Photo Challengeなど、街を活用したアクティビティを通じて、自然に他国の留学生との異文化交流も生まれました。スポーツや川クルーズも楽しみ、毎日が学びと発見の連続でした。

週末旅行:ケンブリッジ、ロンドン
土曜日:ケンブリッジ
他国の留学生と一緒に街を散策。大学や美術館を見学し、マーケットで自由に昼食。文化比較を楽しむ機会となりました。
日曜日:ロンドン
特急列車でパディントン駅へ。事前に班ごとに決めた目的地に沿って、ビッグベンやロンドン・アイ、大英博物館などを巡り、行動力や探索力を身につけました。

最終プレゼンテーション&修了式
生徒たちは4人ずつのチームでテーマを選び、3日間で発表内容をまとめました。
前日にはオックスフォード大学院生からフィードバックを受け、本番に向けてブラッシュアップ。
発表では原稿を見ずに熱意をもって語り、質疑応答も活発に行われました。OISC校長のBen先生も「どのグループも非常に説得力があり、よく考えられた発表」と評価してくださいました。
生徒たちが挑んだテーマ
- イギリス・オックスフォード / UK & Oxford
「なぜオックスフォードは世界的な教育の中心地なのか?」
- 環境 / Nature & Environment
「もし生き物の種類がどんどん減ったら、私たちの生活はどう変わる?」
- 国際問題 / Global Issues
「国連って本当に世界を平和にできるの?」
紛争や戦争のニュースを題材に、国連の力の限界と可能性を考察。
- 経済 / Economics
「安い服を買うとき、誰かが苦しんでいるかもしれない?」
ファストファッションの裏側を探り、消費行動と世界のつながりを考えました。
プレゼンテーションの後は修了証の授与が行われました。

その後は貸切バスでヒースロー空港へ。ドバイでの乗り換えも友達同士で語らい、笑顔あふれる時間となりました。長時間のフライトを経て日本に到着し、解散の瞬間まで友情と達成感に満ち溢れていました。
参加した生徒の感想
- 3年生 Hさん
留学する前までは、英語を使って即興で会話をしたり、質疑応答をしたりすることに苦手意識があり、授業中の発言もできていませんでした。しかし、みんなの温かい雰囲気や、挑戦するたくましさに刺激を受け、とても緊張しましたが、積極的に手を挙げて発言できるようになりました。
特に、最終プレゼンテーションの質疑応答の際、今までは受けた質問は必ず他の人に答えてもらっていましたが、今回のプログラムを通して「私が答えたい」とチームメイトに言えるくらいに、英語力に自信を持つことができました。
もっと海外のさまざまな文化を学び、英語を使い続けたいと思います。
- 2年生 Iさん
今回のプログラムで、多くのアカデミックスキルや実践的な英語力、多様な視点、そして自信を身につけることができました。これらは、今後の人生に大いに役立つと思いますし、せっかく身につけたものなので、積極的に活用していきたいと思います。実践的な英語力は確実に英語の授業で生きてくると思うので、まずは学校の授業で、活かしていきたいです。夏休み明けも授業で積極的に自信を持って英語を使い、さらに自分の英語力を磨いていきたいです。
また、英語の上手な帰国生の友達などにも積極的に話しかけていきたいと思います。そして今回の成長を糧に、今年の秋に申し込んだ英検一級の試験に合格したいです。英語の授業以外でも、Stress ManagementやPresentation、Critical Thinkingなどの授業内容は役に立つと思うので、学んだアカデミックスキルを思い出し、積極的に活用していきたいです。授業だけでなく日常生活でも忘れずに過ごしていきたいです。
今回のプログラムで国連職員などの国際的な仕事への興味がより一層強くなりました。今回得た経験と自信、国際的な視点、そして世界に踏み出すことに対する情熱を忘れず、その夢に向かって努力していきたいです。そして、そのような仕事に就いた際には、今回得たことをすべて活用して、世界で活躍し、世界を引っ張っていける人材になりたいと思います。
- 2年生 Sさん
私にとって今回のプログラムは初めての海外渡航でした。そのため、文化や建築、気候などを直接見て、感じるだけでも、多くの経験と学びを得ることができました。
さらに、現地の教授による相互的な講義を通じて、英国の教育方式に沿った発表や研究の技術を学ぶことができました。同時に、日本の教育との共通点や違いを自ら探求する機会となり、その差異を認識するだけでなく、自主的に考える力を養う時間にもなりました。
今回のプログラムを一つの留学経験として、今後のより長期の留学に繋げるとともに、大学入試対策にとどまらない英語学習の動機にしたいと思っています。また、今回学んだ発表や関連する技術、異国での直接の経験は、英語学習だけでなく今後の課外活動などの学びにも役立つと考えています。
- 2年生 Kさん
この2週間を通じて、最も大きな成長は「自分の殻を破り、積極的に発言する勇気を持てたこと」だと思います。1コマ90分の授業の中で与えられるテーマは、必ずしも自分の得意分野ばかりではありませんでした。しかし、それだけに「まずは意見を出してみる」ことの大切さを実感し、間違いや不十分さを恐れずに挑戦する姿勢を少しずつ身につけることができました。
また、多国籍の仲間と交流する中で、異なる背景や価値観に触れる機会が多く、驚きがたくさんありました。同じトピックでも、国や文化によって受け止め方や考え方が大きく異なることに気づき、その多様性を源として楽しめるようになったことも大きな学びです。単に「英語で話す」だけでなく、「相手の考えを受け入れ、自分の考えを適切に伝える」という対話の本質を体感できたことは、私にとって貴重な経験でした。
最後に
現地で多くのことを学び、そして何より「仲間」を得た16名の生徒たちは、出発前よりもひと回りもふた回りも大きく成長して帰国しました。
The Oxford chapter is over, but your story continues.
Keep learning,
keep challenging,
and keep shining!
Step out. Speak up. Stand tall.
世界は、あなたの“次なる一歩”を待っている。



