
本気で起業を目指す、N/S高起業部。
今回は、2021年10月23日(土)に、ニコニコ生放送とYouTubeで生配信された、特別審査会2021「高校生だから、起業する」〜起業を志す高校生たちの挑戦〜の様子をお届けします。
特別審査員として、N/S高 起業部 特別顧問であり、クラウドファンディング事業を運営する株式会社CAMPFIREの代表取締役社長の家入一真氏を迎え、夏野剛(角川ドワンゴ学園理事)とともに審査をしていただきました。
家入さんは冒頭の挨拶で、起業部のビジョン「進学や就職以外の選択肢を」に触れて、「21歳の時に初めて事業を興したことで人生が拓け、救われました。起業にはそんな力があると信じています」と、若者の挑戦を後押しし、勇気づけてくれるメッセージをくださいました。
また、夏野さんからは「皆さんの本気度に期待しています」と、部員たちを鼓舞する言葉が贈られました。
特別ゲスト審査員を前に緊迫した雰囲気の中、特別審査会がスタートしました。予選会を突破した、特別審査会出場5チームを紹介します。
「CHAIZ」(田中陽誉、土持孝太郎):国内で生産されている和紅茶の販売・紹介サイト"TEA PORT"
「Chaosground」(若林龍ノ介):変化に富んだ新体験をお届けする"攻城戦"FPSゲーム
「Sympathizer」(中村彩、有馬大智):香川県民の休日を豊かにするモデルコースSNS"香川青ホ"
「HIKIAKE」(香取千太):着物を引き取り、リメイクして小物にする事業
「minamima」(三春咲桜・南さくら):伝統文化の普及・発展を促進するためのネット販売・予約サイト運営事業
トップバッターは、日本の茶農家を応援するECサイト"TEA PORT"を提案した「CHAIZ(チャイズ)」日本の放棄茶園を再生するというビジョンを持っています。
3分間でビジネスプランを発表した後、審査員との質疑応答が行われました。
夏野さんからの「熱意も大切であるが、和紅茶の需要を冷静に分析できていますか。紅茶専門ブランドが日本を含め世界中の茶葉を集めているが、和紅茶だけで差別化、収益化を目指すことは難しいのではないですか」という質問に、メンバーは「茶葉の販売のみならず、付属品の販売も検討しています」と返答。
これに対し夏野さんから既存のプレイヤーが多い中でのチャネル戦略のさらなる検討の必要性についてアドバイスをいただき、ブランディングの大切さに気づくことができました。
2番手は、"攻城戦"FPSゲームを開発している「Chaosground(カオスグランド)」FPSゲームの単調さに課題を感じ、攻城戦の要素を取り入れてFPSに改革をもたらすというミッションを掲げています。起業部外でも仲間を集め、チームで開発に取り組んでいます
家入さんからは「FPSゲームをプレイした経験から攻城戦は楽しめるという感想を持ちました」と共感の言葉をいただきました。
夏野さんの「FPSゲームはレベルの高いグラフィックスを作成するために資金力が必要だがどう考えていますか」という質問に対して、メンバーは「SNSやYouTubeで作品の世界観やゲーム開発の様子を公開することでファンを獲得し、ファンに作成を依頼する仕組み作りや、クラウドファンディングにも挑戦したいと考えています」と方向性を語りました。
3番手は、香川県の若者の人口流出に課題を感じている「Sympathizer(シンパサイザー)」
香川県民の休日を豊かにするモデルコースSNS 香川青春ホームページ、略して"青ホ"を開発し、すでに運用を開始しています。
【香川青春ホームページ】https://apps.apple.com/jp/app/id1575535697
家入さんからの「香川愛が溢れる企画で強い思いを持っていることが伝わってきました。SNSが賑わってこそうまくいくビジネスモデルなので、最初のうちは無料で案内しても良いのでは」とご提案をいただきました。
また「香川と同じような課題を抱える他の地域でも何が解決できるのか、広い視点で俯瞰して見ることも必要です」というアドバイスに対して、メンバーは「ぜひやってみます!」と意欲をのぞかせていました。
4番手は、着物を受け継がれる服にするというビジョンを持つ「HIKIAKE(ヒキアケ)」
祖父の遺品の着物を受け継いだという原体験から保管に困る着物を小物にリメイクして依頼者にお返しし、残った生地でも小物を制作・販売するビジネスプランを考えました。
夏野さんから「小物にリメイクするには人手がかかってコストがかさむことが予想されるので、スケール化、量産化するための方法を考えてみた方が良いでしょう」とアドバイスをいただきました。
最後は、伝統文化をもっと身近に、未来へ繋ぐ「minamina(ミナミナ)」
伝統文化の後継者不足や需要縮小に課題を感じ、日本全国の伝統文化を体験できるポータルサイトの運営を目指しています。
家入さんからの「伝統工芸や伝統文化の事業者は高齢の方が多いと思いますが、PCやネットへの抵抗感を持つ方にはどう対応していきますか」と質問に対しては「ヒアリングを通してネットにあまり詳しくない方に向けても使用していただきやすいシステムを作成したいと考えています」と回答しました。
夏野さんからは「利用者がリピートしたくなるような仕掛けがあると面白いと思います」とご提案いただき「伝統工芸と一言で言っても幅広いので、最初の立ち上げ時にはジャンルを絞って営業していくと良いかもしれません」とアドバイスもいただきました。
5チームのプレゼンが終わり、審議タイムに入りました。
審査の観点は以下の3点です。
・ビジョン・熱意
・ビジネスモデルの秀逸性
・アクションの度合い
審査員ルームでは熱い議論が繰り広げられました。そして、いよいよ審査結果発表です。
まず第3位は「Chaosground」
選定理由として、家入さんからは「コミュニティを立ち上げてファンを獲得していく、クラウドファンディングに挑戦するという、熱量を高めていく仕組みについてよく練られたプランでした。決して不可能ではないと思います」とメッセージをいただきました。
メンバーは「FPSゲームという自分の居場所が認められたという思いです。茨の道ではありますがこれからもユーザー目線で開発を行っていきたいと思います」と改めて抱負を語りました。
第2位は「Sympathizer」
夏野さんからは「香川県という、あえて限定的な地域からスタートすることが成功の秘訣になると思います。香川愛を大切にして引き続き頑張ってください」と、エールが送られました。
メンバーは「優勝を目指していたので悔しい気持ちはありますが、結果といただいたアドバイスを受け止めて頑張りたいと思います」と決意を新たにしていました。
そして特別審査会2021、第1位の栄誉に輝いたのは「minamina」
家入さんからは「モノ消費ではなくコト消費という現代の潮流を捉えたサービスで、コロナ後の世界も捉えていると思います。ビジネスモデルとしてもうまくいく可能性があると思います」と、嬉しい評価をいただきました。
夏野さんからは「ここからの具体的なプランの設計が大切なので、ぜひ頑張ってください」と、激励のメッセージをいただきました。
見事に第1位を勝ち取ったminaminaのメンバーは、驚きの表情を見せながらも「チームメンバーのおかげで受賞できました。これからもメンバーを頼りながら一緒に頑張っていきたいと思います」「嬉しいです。浮かれずに、これからも全力で頑張りたいと思います」と喜びの思いとさらなる決意を語りました。
minaminaには副賞として特別顧問の家入さんとの「個別メンタリング」の機会と、名前入りトロフィーが贈られ、特別審査会を一緒に戦った他の起業部メンバーからは温かい拍手が送られました。
そして最後に、特別ゲスト審査員から起業部メンバーへ向けてメッセージが贈られました。
家入さん「みなさんが起業するのはここで受賞するためではありません。どういった課題を感じてどういった世界を描きたいのか、その本質を見誤らずに頑張ってほしいと思います。ビジネスモデルについては、既存のビジネスの範疇から超えられていないというのが正直な感想でした。もっとビジネスモデルを研究して深めてください」
夏野さん「1位から5位まで僅差の審査で、最終的にはプレゼンに対する準備度の差でした。4位、5位の方もぜひ頑張ってください
最後に、参加した起業部メンバーの感想の一部を紹介します。
・N/S高起業部で1位になったという名誉を胸に、さらに高みを目指してまずはローンチ、そして規模拡大を目指して頑張ります
・特別審査会で頂いたフィードバックを参考にしてさらにブラッシュアップしていきたいと思います
・自分の甘さを認識する良い機会でもあったので、しっかり向き合って改善していきたいです
・中期経営計画をもっと具体的にしていこうと思います。プロダクトをプレゼンで話しやすいように分解していったので、さらに作業が進みます!
今回の特別審査会を経て、さらにヒントや気づきを得た部員たち。この日の学びを活かしてのさらなる飛躍に、期待が膨らみます。