
12月6日(月)〜17日(金)まで全6日間の日程で、ワークショップ 「2分間のアニメーションを作ろう~コンセプトメイキングから制作まで~」が実施されました。
今回お招きしたのは、クリエイティブ・ディレクターの古屋遙さん、ミュージック・エデュケーターのマイケル・スペンサーさん、アニメーターの阿部舜さん。アシスタントとして大阪芸術大学の生徒さんも参加していただきました。
このワークショップは、生徒4~5名でひとつのグループで活動し、「勇気」をコンセプトに、オリジナルのストーリーとキャラクターを考え、音楽とアニメーションつくりに挑戦しました。
■プログラムの内容
【1日目】
・顔合わせ、アイスブレーク
・「勇気」について考える
【2日目】
・音楽、キャラクターの作り方について学ぶ
・グループで、設定やキャラクターを話し合う
【3日目】
・アニメーションの手法を学ぶ
・グループでキャラクターや、絵コンテの作成
【4日目・5日目】
・制作
【6日目】
・作品発表、ゲストからのフィードバック
・アニメーション「ピーターと狼」鑑賞会
・振り返り
このブログでは、ワークショップに参加した立川キャンパス3年生、Y.Hさんの感想を交えながらプログラムの内容を紹介していきます。
初日は、グループディスカッションを通して作品のコンセプトを深めました。今回の作品共通テーマは「勇気」。
はじめに「自分にとって勇気とは何なのか?」をテーマに話し合い、また身の回りで経験した「小さな勇気」のエピソードをグループで出し合いながらテーマを深めていきました。
Y.Hさんにグループで話した内容について聞いてみたところ「いろいろ案を出していったのですが、『嫌いなものを食べてみる』『行ったことのない道を通ってみる』など小さな勇気のエピソードが出ました。グループ内でも同じ意見はほどんどなくそれぞれの個性が出たのかなと思いました。」と話してくれました。
また、今回のワークショップに参加しようと思ったきっかけを聞いてみると「ワークショップや職業体験に参加するのが好きで今回のアニメーションの職業体験にも興味を持ちました。それと絵を描くことや創作するのも好きだったので告知を見た瞬間応募するしかない!と思いすぐ応募しました。」と話してくれました。
ワークショップ前半の日程では、グループディスカッションを通して作品のコンセプトを深め、伝えたいストーリーのイメージを膨らませていきました。
■2日目
マイケルさんから音楽やキャラクターの作り方について講義を受けました。マイケルさんからの話を参考に、1日目の話し合いで深めた内容をもとに、キャラクターや話の設定などを決めていきました。
Y.Hさんのグループでは、どのようにキャラクターや話の設定を決めていったのかの流れを聞いてみました。「私のところのグループはみんなやりたいイメージが違っていてティーチング・アシスタント(以下、TA)さんのアドバイスをいただくことに。そのおかげで主軸となる方向性として“凸”凹”というキャラクターを中心にすることになりました。
『凸凹って積み木のようにぴったりとはまりそうだよね』とイメージのすり合わせをしていき、凸凹のキャラクターデザインをしてくれたUさんを中心にキャラクターのイメージについても話し合って作っていきました。
最終的に、毎日けんかをする関係だった凸凹ちゃんは、閉じ込められた白い部屋から脱出しようという同じ目的を持つことで協力して仲直り。友情が芽生えるという物語することに話がまとまりました。」
■3日目
古屋さんと阿部さんを招いたスペシャル講義が行われ、伝えるコンセプトの大切さや映像になるまでのプロセス、またお二人の実際の絵コンテなども見せてもらいました。
さらにその場で、スマホのアプリでコマ撮りをしているところや「CLIP STUDIO PAINT(イラスト・漫画・アニメーションなど作品制作に幅広く使えるPCソフト/スマホ・タブレットアプリ)」というソフトを使って実際に簡単なアニメをつくっているところを見せていただきました。
■ワークショップ 後半
グループごとに制作活動に取り組みました。
今回はSlack(角川ドワンゴ学園で使用しているコミュニケーションツール)を利用して、ワークショップ以外の時間でも、アニメーション制作を専攻している大阪芸術大学の学生さんにサポートしてもらうことができました。生徒たちは自主的にをSlackを活用して、グループで話し合いながら制作を進めていました。
Y.Hさんに、グループでの作業について聞いてみると「全員アニメーション制作初めてでどう作ればいいかもわからず日程の半分過ぎてから『あれこれやばいよね?』という感じで焦りと意識が急に湧き出しました。最後の3日間ぐらいで焦りながらアニメーションの作画を描いていたんですけど、役割分担と合意形成が上手くできず難しかったです。作画も大変だったんですけど、わからないからこそのすれ違いや確認不足があり、あれもこれもできてない……!みたいな感じに慌てる毎日。それと、役割分担はアニメーションの作画一択で始めてしまったんですけど、絵を描ける子があんまりいなくてどう分担すればいいかわからなくて困りましたね。最後は『何ページから何ページまでは〇〇さんがやろう!』と担当を決めて完成させました」
どこのグループもY.Hさんのグループと同様に「締め切りに間に合うか」「役割分担はどうするか」など、何度も何度も話し合っている様子がみられました。
その中で、作画にかかる時間を減らす工夫を考えているグループもいたり、途中でもいいから細かいところを頑張りたいと考えているグループもあったり。グループによってさまざまな工夫がされていました。
■最終日
各グループの作品を発表して、作品についてゲスト講師の方にグループごとにフィードバックをいただきました。
Y.Hさんはこのフィードバックを受けて「もっと凸凹ちゃんをもとにして、作画を抑えつつアートなアニメーションにしたら良かったのかなと思いました。凸凹という着眼点は良いと言われたので違う視点でシナリオなど考えらえたら違う作品になっていたのかなとも思いました。プログラム終了後には、今回は初めてのことばかりで制作するタイミングも遅かったですが、また次の機会があればもっと早く取り組んで完成度の高いものに仕上げたいと思いました!」と話してくれました。
ワークショップの最後には、キャラクターや舞台がどのようにして作られているかなどを、マイケルさんに解説していただきながら「ピーターと狼」という作品を鑑賞しました。
プログラム終了後には、ゲストの古屋さんが「子連れ100人ヒロバ 2021 Holiday」のイベントお手伝いを生徒の中から募集していただき、数名の生徒が実際にお手伝いとしてイベントに参加しました。
このイベントは「影絵をみんなで作って遊べる展示」という参加型展示で、生徒たちは設営や片付けをサポートしました。
ワークショップに参加した感想とイベントのお手伝いを経験したY.Hさんは「お手伝いできたことはありがたい経験になり、とても楽しかったです!イベントというのはこうやって準備してできていくのだなと思いました。設営と片付けを手伝わせていただきましたが、これからイベントが始まるんだというワクワク感と撤収時の切なさ寂しさを味わえて良い経験になりました。人と作品を作り出す難しさというのはあるんですけど、ひとりでは味わえない楽しさもあってよかったです!仲間との連携の取り方をすごい学べたなと思いました。失敗もありましたが“役割分担をしてわからないことや困っていることは話し合って助け合う”ことがすごく大切で面白いことだなと再確認しました。これからも人と何かを作っていきたいと思いました!」と話してくれました。
ワークショップに参加した生徒たちの感想の一部を紹介します。
・アニメーションをみんなで作るということが初めての経験でした。ストーリー作りから動画作成までいろいろなことが出来て楽しかったです!
・期間中に一つのことに本気で取り組むということができて楽しかったし、達成感もありました。テーマは「勇気」と同じものでしたが、グループによって全く違うアニメになっていたのが面白かったです。
・すごくためになる経験になりました!このワークショップを通じて学んだことは、チームでの協力の重要性、諦めない気持ちです。
・時間内に作品を作るとなるとどうしても妥協点は生まれてしまうのでどこを妥協してどこにこだわれば良い作品に見えるかを考えることができた。
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