
N高等学校では毎年4月に開催されている「ニコニコ超会議」にて文化祭を実施しています。
文化祭の開催にあたっては生徒が文化祭実行委員会を組織し、企画・運営の大部分を生徒自身が担っています。
去る1月23日、その文化祭実行委員に向けたワークショップが開かれ、生徒達は「即興演劇」にチャレンジしました。
講師は即興エンターテインメント集団・「ロクディム」共同主宰でもあり、即興演劇のコーチでもある渡 猛(わたり・たけし)さんをお招きしました。

「即興演劇」は台本も演出家もおらず、何も決められていない状況から出演者全員でセリフをつむぎ、動き、シーンを作り出すお芝居。
面白いシーンを生み出すには、出演者同士の信頼や、相手を思いやる気持ちが欠かせません。
渡さんは即興演劇のメソッドを用いて、学校や有名企業での研修を数多く実施されています。
今回は、文化祭実行委員として必要な「コミュニケーション力」の向上のためのワークショップを実施していただきました。
文化祭を素晴らしいものにするために、生徒同士のコミュニケーションは欠かせません。
この日のワークショップには、文化祭実行委員の中から20名の生徒が参加してくれました。
まずは渡さんの自己紹介を交えて、ワークでは実際にどんなことをやるかを一緒に共有していきます。
それでは、実際に行われたワークの内容を一部抜粋してご紹介いたします。

はじめはゆっくりと身体を動かし、一人で歩き回るなかで、他の人と目を合わせたり、握手をしたり。さらに肩を寄せ合い、最後は背中合わせになって互いに寄りかかります。
体重をかけて寄りかかることは互いの信頼や、思いやる心がなければできないことです。
単純な動作でも、それぞれには意味が込められています。
一つひとつのワークに対して、渡さんはワークそのものの意味づけと、生徒自身がどう感じたかを確認しながら、どのワークが効果的かをその場で選び提示していきます。
ワークショップ自体も筋書きのない即興。生徒達は感覚を研ぎ澄ませて真剣な面持ちで臨みます。


また、この日は「ピーピーゲーム」というワークも実施。
このゲームではまず生徒の中から1人、前に出てきてもらいます。
仮にその人をAさんとして、Aさんには会場から出て行ってもらいます。見えない状態でAさんにしてほしい簡単なこと(例:椅子に座ってほしい等)を他の人が決めます。
決めたらAさんに会場に入ってきてもらいゲームスタート。
Aさんは答えを知ってる皆を見て、インスピレーションで動いていきます。
少しでも答えに近づいていれば皆で「ピー!ピー!ピー!」と金属探知機のように音を出して知らせます。
答えに行けば行くほど音が大きくなります。当たったら拍手でみんなでたたえます。
一人の生徒が選ばれ、早速チャレンジです。してほしいことを決め、ゲームスタート!

「えっ、えっ、ええっ・・・?」と戸惑う生徒。顔にも不安な表情が見えます。
渡さんが「音のするほうへ動いて」とうながし、みんなの顔を見ながら、おそるおそる動いていきます。
すると「ピー!ピー!ピー!」と周りのみんなが声を出し始めました。
間違ったほうにいくと音がなりやみ、また正しい方にいくと音が大きくなって…。
椅子に座った瞬間、ワーッと歓声ととにも拍手が沸きあがりました。
そう、正解は「決められた位置の椅子に座る」こと。


また、別のワークとして「社長ゲーム」というものも実施。
このゲームではグループを組んで一人が社長役となります。
他のメンバーが従業員として社長のもとに来て、社長に「社長!大変です!社員が僕以外だれも来ません!」といった問題を投げかけます。
問題に対して社長は必ず、答えを考える前に間髪入れず「それはちょうど良い!!」と言い、なぜちょうど良いのか話し始めるというものです。


次々やってくる難題に、社長役の生徒も四苦八苦しながらこたえていきます。
「社長!大変です!お金がなくなりました!」
「それはちょうどいいね!会社を新しく作り直そう!」
状況に応じて、話の辻褄が合うように会話を成立させるこのゲーム。
自分が普段思考しているパターンを外れて、新たな考えを生み出していくにはどうしたらいいか…。
それぞれが考えるきっかけになるワークでした。
最後に、今日のワークを振り返って、自分がどう感じたかを共有しあいました。
そして、渡さんに聴きたいこと、自分がコミュニケーションで困っていることなどについて疑問を投げかけていきます。


