午前0時過ぎ。築地市場の周りに集まる数多くのトラック。全国から魚介類や野菜などの生鮮食品が運び込まれる。
マグロ仲卸業者、株式会社山和の仕事は早朝3時から始まります。
暗い空の下、トラックのヘッドライトに照らされ、3人の職業体験参加者は期待と緊張でドキドキしながら築地市場に向かいます。
築地でマグロ仲卸を営む株式会社山和。今回の職業体験の場です。渡辺社長に挨拶をする参加者にこんな言葉をいただきました。
「マグロ仲卸に就職して欲しいわけでありません。職業体験に来たのは、きっと勇気のある一歩なはずです。帰った後に次の一歩を踏み出すために、”仕事とは”、”人と付き合うこととは”、いろんなことを学んでほしい。そして挨拶と返事が全てのはじまりと実感して欲しい」
参加者は過酷とも言える職業体験でこの言葉の意味を知っていきます。
外国人観光客にとって、人気の観光スポットになっている早朝5:30からのマグロのセリ。少数枠の一般見学のために、彼らは深夜1時から並び始めます。
実は一般見学が可能なのは冷凍マグロのセリなのですが、今回の職業体験では、冷凍マグロだけではなく生マグロのセリも見学させていただきました。
500頭を超えるマグロの圧倒的な光景。仲卸業者が醸し出すヒリヒリとするような雰囲気に飲み込まれそうです。
「マグロは生き物」
鮮度を落とさないよう、輸送準備は時間との勝負です。
氷を袋に詰め、発泡スチロールにマグロを入れ、20kgの荷物をターレトラックに運びます。日の出前の3時からスタートした仕事は、気付けば朝の9時を過ぎていました。
築地場外の店舗でも、真似事ではない本物の販売活動を体験しました。マグロを何gで商品にするのか、値段をいくらにするのか、手書き看板作製、そして築地ならではの接客。
1つ売れたことに自信を持ち、どうにかそのモチベーションを保ちながら完売を目指す。
身を持って仕事の厳しさを体感しました。
販売終了後は、店内の全ての場所を1時間以上かけて清掃。食品を扱う仕事なので衛生管理は最重要です。
「掃除は、翌日に困らないための前準備なんだよ」
というスタッフさんの声に、疲れ切っていた参加者も、もうひと踏ん張り頑張ることができました。
長いようであっという間の職業体験。
マグロ仲卸に詳しくなるだけではなく、生活や他の仕事に通じる多くのものを学びました。
挨拶は全てのスタート。
仕事は待たずに自ら貰いにいく。
辛い時には、自分のしている作業が誰の助けになるのかを考える。
常に先を見て情報を集める。
判断したら突き進む。
一歩踏み出した自分を認める。
多くの体験と言葉を身に付けた参加者は、前をしっかり見据える表情に変わっていました。