
6月中旬、アプリサービス「ONE」が公開されると、世間では瞬く間に話題となり、その斬新なサービス内容に多くの人や企業が関心を寄せました。
「ONE」とは…
レシート1枚を10円で買い取るアプリ。アプリから手元のレシートの写真を撮影して送るだけで、ユーザーのウォレットに10円が振り込まれるシステム。
「ONE」は、各メディアでも取り上げられ、利用希望者が殺到し、サービスが一時停止されるほどでしたが、数日後には「DMM AUTO」(車の即時買取サービス)と連携して、新たな展開を発表し、世間をさらに驚かせました。
サービスを展開するワンファイナンシャル株式会社を率いるのが、今回の特別講師を務めていただいた山内奏人(やまうち・そうと)社長。現役の高校生です。

講義当日、起業部メンバーの前に現れたのは、涼しげな夏の装いに、コンビニのおにぎりを抱えてやってきた若者。
いわゆる「社長」のイメージを良い意味で裏切られ、山内社長の放つ雰囲気に逆に緊張するメンバーたち。
そんなことは全くお構いなく、
「忙しくて昼食を食べてなかったので、食べながらですみません。」
という山内社長の一声で講義はスタートしました。まずはご自身や会社について簡単に自己紹介。
その後は、すべて質疑応答方式で講義が展開されるという、大変贅沢な講義となりました。
世間にインパクトを与えた若き実業家に、起業部メンバーから次々と質問が投げかけられます。
「なぜこのサービスを作ろうと思ったんですか?」
「どうやってモチベーションを高めていますか?」
忌憚のない質問にも、丁寧に答えてくださいます。
互いにコミュニケーションも取れてきた講義の中盤には、起業部メンバーから、1分間のビジネスプランのプレゼンを実施しました。
「うーん、それ、多分あまりうまくいかないと思うな。」
「今のままでは限界がある。まだまだもっと工夫したほうがいい。」
「プランは面白いけど、まだ浅いね。もっと磨かないと。」
「サービスは良いけど、たぶん長くは使ってもらえないんじゃないかな。」
山内社長から、容赦のないコメントが返ってきます。
しかし、これまでの活動で、厳しい言葉もしっかりと受け入れる力をつけてきたメンバーたち。
むしろ、わずかな情報量であっても、一つひとつのチームに、率直な意見とアドバイスを投げかけてくださる真摯な姿に、とても感激していました。

その後も質疑応答が続きます。
「これからどんなことに挑戦しますか?」
「どのように仲間を集めたんですか?」
すると…。
「とてもいい質問!」
山内社長がパソコン画面を操り、役員メンバー4名が写ったスライドが投影されます。
「結局は、人だよね。出会いと縁があったから今がある。あるベンチャー社長と知り合いになって、その方がいまの中心メンバーの1人を紹介してくれて。それだけでも凄いことだと思っていたんだけど、さらにもう1人とも出会ったら、4人目のメンバーもついてきてくれて。だからやっぱり、どうやって人に出会うかが決定的に大事だよね。」
これまで多くのチームが孤軍奮闘で頑張ってきたN高起業部。
山内社長の言葉が胸に沁みます。
初めから仲間が揃っているわけではない。なにかの縁で出会った人と、仲間と呼べるまでお互いに努力する。
仲間は見つけるものではなく、一人ひとりが自分の手で育んでいくもの。
今回の特別講義は、いかに自分たちのプランやサービスを良くするかを試行錯誤してきたメンバーにとって、仲間やチーム作りについて考える絶好の機会となりました。
自分たちと同じ高校生から学んだことを胸に、これからも起業部メンバーの闘いは続きます。