
梅雨空に小雨が降りしきる中、埼玉県最大のターミナル駅である大宮駅前のイベントスペースで、高校生主催の中高生のためのイベントが催されました。
イベントの主催者は、N高起業部二期生である大宮キャンパスの小山さんを代表者とする団体「Rough」。
イベント名はコミュニケーションワークショップ「ラフコム」。
そのコンセプトは、「コミュニケーション力を培い、一歩を踏み出す」。
中高生共通の悩みである「コミュニケーション力」を培うワークショップとは?
中高生交流の現場をレポートします。

「ポケモン好きな村岡さんの前にいる、モンハン好きの師岡さんの左にいる、ボードゲーム好きの小山です!」
アイスブレークでスタートしたイベント。独創的な自己紹介ゲームで、初対面の中高生同士も一気に和みます。
司会進行の小山さんは、通学コースキャンパスのイベントや授業でも培った、大人顔負けのコーディネート力で場の空気を盛り上げます。投影するスライドにも起業部などで日頃鍛えられたスキルが思う存分発揮されています。
初めのワークは、「マシュマロチャレンジ」という、チームビルディングの研修などにも使用されるワーク。
乾麺パスタ、テープ、ひも、マシュマロを使って自立するタワーを作り、最も高いタワーを作ったチームが優勝です。
テープで足場を固定してはいけないなど、いくつかのルールを守りながら、できる限り高いタワーができるようにチームで相談しながら進めます。
「そこを繋げないとダメじゃない?」
「いや、これじゃ曲がっちゃうよ」
「バキッ」(パスタが折れる音)
「あーーっ!」(悲鳴)
数分前に会ったばかりのメンバーが自然と協力して作業します。

やがて、協力して完成したマシュマロタワー。決して見栄えのいいタワーではありませんでしたが、優勝したチームメンバーは誇らしげな笑顔でした。
1つのワークが終わると、司会者からコミュニケーション力を高めるミニレクチャーが入ります。
「チームワークを強化するコツは、『“ありがとう”をしっかり伝えること』です」
「さあ、お互いにお礼を伝えましょう!」
シンプルだけど当たり前にできないこと、あるいは、カタチだけになりがちなことの大切さを体験を通じて学んでみる。これがこのイベントの真骨頂です。
さらに司会者から解説が入ります。
「チームワークがいいチームってどんなチームでしょう?」
「チームの中でリーダー的な人が出てきた、役割分担ができた、一回失敗して作り直した。こういうことが少しでもできたら、いいチームになってきた証です。どのグループもいいチームになってきましたね!」

最後のワークは、折り紙を使ったワークです。
折り方が書かれたシートを見ながら口頭で折り方をレクチャーするのが解説役。解説役の説明に沿って折り紙を作り、何を作っているかをメンバーが当てるというワークです。
解説役は自分で折り方を説明するための言葉を選ぶこと、メンバーは解説役の説明に想像力を働かせながら1つ1つ丁寧に折っていくことが求められます。もちろん、解説役が直接折り紙に触れることはできません。あくまでも、口頭で説明しなければなりません。
「角を山折りにした後で、2つに折って…。」
「え?2つに折るのはどっちに?」
「ちょっと待って、山折りの次はなんだっけ??」
普通に作業すれば数秒でできることが、「なんでこんなに難しいのだろう?」とでも言いたげな表情で、みんな黙々と集中して取り組みます。
順番に全員が解説役を経験することもこのワークの大切なポイント。お互いの立場を経験することで、相手の行動の難しさを体感します。
やがて、ワークが終わると、一気に緊張感が溶けたのか、息をつく声や笑顔が会場に溢れました。
ワーク後のワンポイントアドバイスです。
「言葉によるコミュニケーションを円滑にするコツは、聞く側が『適度にうなずく』ことです。目を合わせて、理解できたことにうなずいていく。そのちょっとした心がけで、お互いの距離が縮まっていくんですよ」
あっという間に終了時間をむかえました。
参加した中高生からは、
「コミュニケーションのコツについて学べたのが良かった」
「コミュニケーションを学びたくて参加した。そのヒントが見つかりました!」
「言葉で伝えることの難しさを体感できました。これからに活かしていきたいです」
と充実した声があがりました。