
本気で起業を目指す集団、N高起業部。
今回は起業部特別メンター・横山創一氏を招いての特別講義 第1弾の様子をご紹介します。
横山さんは、読売新聞社を経て近畿大学で広報やプロモーションに携わり、ベンチャー企業のコンサルタントとして事業家や起業家、3000社以上の企業と関わった経験があり、多岐に渡るフィールドで活躍されてきました。
現在は「世界を節水する」をミッションに掲げるスタートアップ企業の株式会社DG TAKANOの最高執行責任者として尽力されています。
多様なキャリアを歩んで来た横山さんから起業部メンバーへ贈られたメッセージは、いかにして夢や目標を実現するか、すなわち、自らの手でどのように未来を拓くべきかという若者たちへのエールでした。
「Will(理想・夢・使命)、Mast(やるべきこと)、Can(今できること)の3つテーマを考えてほしい。今できることを認識し、高い夢や使命を持つことで、今やるべきことが見えてくる。やるべきことを行える力をつけていくことで人や事業は成長していく。より高いWillを持ち、今自分ができていることを認識し、価値を作ることが起業部に入部したみんなのやるべきこと」
「時間の定義を見つめ直し、今この時間を何に使っているかを認識し、時間に目的意識を持ってほしい」
「事業計画書は天使と悪魔の目を持って作成し、たくさんの人に批判してもらおう」
「本気で取り組む事業は、粗利なくして成功なし。面積を広げるイメージを持って、事業を拡げていこう。経営者として利益やお金の話に嫌がらず向き合っていくことが大切」
「実るほど頭を垂れる稲穂かな。稲穂が実るように、これから皆さんはN高や起業部の活動の中で成長し、成果をあげていくと思います。成果をあげても謙虚な姿勢を忘れず『ありがとう』『助かります』『よろしくお願いします』など、“ 成功させてもらった ”と思う気持ちや姿勢を持ち続けてください」
横山さんのお話やアドバイスは起業を目指すメンバーにとって、起業家としての心構えや経営者として大切なことなど、今後活動する上で参考になるものばかりでした。
講義後半の質疑応答では、生徒が積極的に質問し、時間が足りなくなるほどでした。
質疑応答の一部を紹介します。(敬称略)
Q:Willを掲げてもついてこれないメンバーがいるなど、組織が団結できていません。中間管理職としてのマネジメントはどうすれば良いですか?
横山:みんなが陥る組織の壁。基本的に組織は壊れるという前提で考えましょう。壊れた時に誰かの責任にしてしまうのは簡単なので、自分自身の責任として受け入れられるかが重要です。自分が大きな風船を作らないと組織のメンバーは誰もついていけません。大きいWillを作って共感してもらうことも必要。また、組織がうまくいく特効薬は自身の苦手なことや弱みをさらけ出し、メンバーの母性を引き出すこと。これをすると組織はまとまりやすいんです。
Q:欲しい人材の定義を設定し仲間やメンバーを募集していますが、なかなか良い人が集まりません。良い人材を集めるにはどうしたら良いですか?
横山:自身の説明力と相手の理解力に差異があることが、人材募集が上手くいっていない理由だと考えられます。自身が求める人材や完璧な人材はいないと考え、育てていくフェーズも必要。また、N高外での人材募集を考えたり、ヘッドハンティングをしたりと、さまざまな方法を考えると同時にペルソナをしっかりと設定しターゲティングしていくことも必要だと思います。
Q:お金に興味がありません。自分の事業を進めるにあたりNPOを立ち上げるか会社を立ち上げるかで悩んでます。
横山:上手くいっているNPO法人は収益をあげています。お金の話からは逃げられないので、そこを自身の弱さと受け入れてビジネスパートナーを見つけ、組織を維持していく必要がありますね。まずは自分自身が高いWillを掲げるところからスタートし、一緒にビジョンを進めていく人を集めていったらいいのではないでしょうか。
Q:現在、自分には構想とプロトタイプ(試作品)がある状態です。構想やプロトタイプにお金をかけるにはどうしたら良いですか?
横山:試さないと収益が足りず会社が成り立たなくなるのであれば、資金調達を行うことを考えてもいいですね。ただ、5~10年後にその商品の価値が低くならないようシミュレーションした収支計画と事業計画書を作成することが必要。モノ作りを応援する行政や自治体もあるので助成金のチェックも行うと良いと思います。
この他にもWEBサービスの活用方法、価格設定のアドバイスなど、起業部メンバーからの質問や相談に、時に笑いを交えつつ、丁寧に回答してくださいました。
参加した起業部メンバーの感想を紹介します。
「Will,Must,Canの考え方はイメージもしやすくてキャッチーだった。目的意識を持ってそれに全力で取り組むことは、休日も焦って作業をしようとしがちな自分に足りないことなので身にしみた」
「『実るほどこうべを垂れる稲穂かな』という言葉のように、スキルアップしていっても、謙虚で居続けるということが大切だと分かりました。『助かります!』ってたくさん言いたいなと思いました。スポンジみたいになんでも吸収していきたいです。また、自分のやりたくないこと、ダメなことをさらけ出して、メンバーの母性をくすぐることも大切だと知りました。私はさらけ出すのが下手なので、がんばりたいと思います」
「自分はお金稼ぎについてそこまで深く考えておらず、人の助けになればいいとだけ考えていたのだが、どんな事業にも利益を得ることは重要で、その利益を投資し、商品開発していくことが重要だと思った」
初めての特別講義ということで、最初は緊張していた起業部メンバーでしたが、横山さんの活気ある講義が進むにつれて次第に笑顔が増え、積極的に質問したり、メモを取るなど、今回の特別講義を自身の事業に活かしていきたいという姿勢が伝わってきました。
横山さん、貴重な学びの時間をありがとうございました。