2023年8月8日(火)〜8月9日(水)に、「松下村塾コミュニケーション合宿 〜偉人たちの学び舎で自分と向き合う1泊2日〜」と題し、山口県萩市でコミュニケーションをテーマとした宿泊型プログラムを実施しました。
今回のプログラムは、生徒の声(※1)を反映した「学校では教えてくれない!コミュニケーションの授業」シリーズの初回特別イベントとして開催。
※1 N/S高・N中等部の生徒に向けて実施した「コミュニケーションに関するアンケート調査」で、「自身のコミュニケーション能力について得意・不得意を教えてください」という問いに対して、「苦手」「やや苦手」と答えた生徒が6割以上、「コミュニケーション能力を高めたいと思いますか」という問いに対しては、9割以上が「高めたい」と回答。
吉田松陰が主宰した松下村塾を舞台に、生きていく上で普遍的に必要であり、変化の激しい現代社会で活躍する上で不可欠なコミュニケーション能力について、歴史的観点から考えるプログラムを実施しました。
当日は、全国各地から17名の生徒が参加。
参加理由は、
・歴史や史跡が好きだから
・吉田松陰の学びに対する考え方を尊敬しているから
・松下村塾で畳の上に上がることができるのは貴重な機会だから
といった歴史や偉人に対する強い関心に加え、
・いろいろな人とコミュニケーションをとって、自分の成長の場にしたい
・他の参加者とコミュニケーションをとることでさまざまな価値観に触れられると思ったから
など、「コミュニケーション力」に関する自らの成長を求めて参加を決めた生徒が数多く見られました。
一体どんな合宿になったのか、レポートしていきたいと思います。
■1日目
初日は松陰神社にてプログラムがスタート。
この松陰神社内に、伊藤博文など明治新政府で活躍した多くの逸材を輩出した松下村塾はあります。
なんと今回は特別に許可をいただき(※2)、世界遺産である松下村塾に上がらせていただきました!
※2 今回、角川ドワンゴ学園CEA鈴木寛さんが塾長を務める一般社団法人社会創発塾と萩市とで締結した協定に基づき、参加者は特別な許可をいただいて松下村塾に上がっています。(通常、世界遺産である松下村塾の畳の上は立ち入り禁止です。)
吉田松陰先生に感謝の気持ちをこめて、参加生徒は1人ずつ畳の上で自分の“志”を発表。
幕末に建てられた非常に貴重な建物の中にいることに緊張しつつ、「受験生のため、志望校合格に向けて粘り強く頑張りたい」など、中高生ならではの生き生きとした志を発表してくれました。
また、畳に上がった生徒の1人は、「学びの場所を作り出してきた松陰先生を昔から尊敬している。実際に畳に上がったことで、改めて学びについて考えるようになった」と感想を話してくれました。
松陰神社内の散策では、おみくじの結果を見せ合ったり歴史好きならではの話に花を咲かせたり、参加者同士が徐々に打ち解け合っている様子も見られました。
その後は明倫学舎に移動し、角川ドワンゴ学園Chief Educational Advisor(CEA)である鈴木寛さん、元TBS記者で歴史小説等を手がける作家の井沢元彦さんによる講義を受講。
井沢さんは、「エンジン01文化戦略会議」内の教育委員会による出張授業の一環としてお越しいただきました。
鈴木寛さんからは、「次世代を生きる君たちへ ~私が萩から学んだこと~」というテーマで、吉田松陰の生涯を通じ、自分自身や社会の未来を創造するヒントについてお話しいただきました。
井沢元彦さんからは、「社会で必要なコミュニケーション能力の0から100」というテーマで、グローバル社会でのコミュニケーションで必要になってくる宗教に関する歴史や、日本の民主主義についてお話しいただきました。
生徒は、参考資料として見せていただいた昔の硬貨に好奇心をくすぐられていました。
生徒たちの「吉田松陰の遺した言葉から身近なコミュニケーションについて考えることができた」「ストーリーを交えながら分かりやすく教えて下さったので、とても満足できた」といった感想から学びを自分のものとして吸収していることが分かり、講義中も熱心にメモをとる姿が見られました。
講義終了後は宿泊先の萩セミナーハウスへ。
夕食後にレクリエーションを実施し、グループ対抗で、グループ全員の共通点を見つけるスピードを競い合いました。
「ペットを飼っている」「関東に住んでいる」など共通点はさまざま。
始まって10秒で共通点を見つけることができるグループもあれば、なかなか見つからず、5分ほどかけて一生懸命見つけ出してくれたグループもありました。
お互いを知るための質問を重ねたことで、「友達ができるきっかけになった」「自分と価値観が全然違う人と喋れて楽しかった」といった感想が聞こえ、参加者同士のコミュニケーションの機会として生徒たちに好評でした。
■2日目
起床後に萩セミナーハウスを清掃。
ネットの高校ではあまり経験しない掃除分担でしたが、参加者同士で会話を楽しみながら、お世話になった施設を積極的にきれいにしていました。

2日目のプログラムのメインは、城下町観光。
NPO萩観光ガイド協会のガイドさん2名にお越しいただき、2班に分かれて萩市内の史跡を巡りました。
木戸孝允旧宅、高杉晋作誕生地など幕末の偉人ゆかりの地に生徒は興味津々。
建造物の石垣の種類から、萩市内の経済を支えてきた夏みかんの歴史まで、知識豊富なガイドさんの解説があるからこそ学べることが多くありました。
「初めて知った」「そんな歴史があったなんて面白い」など、参加者同士で感想を話し合いながら観光を楽しむ生徒の姿が印象的でした。

その後は、萩焼の窯元であり食事処も併設する「千春楽城山」に移動して昼食とお土産購入の時間。
昼食中は、参加者同士でプログラム内容を振り返りながら、萩市ならではのグルメを楽しみました。
売店では400年の伝統を誇る萩焼が多数販売されており、中には事前に欲しい種類を調べて購入している生徒もいました!
松下村塾の畳に上がるという貴重な経験から始まった、1泊2日の宿泊型プログラム。
参加生徒は講義や観光を通じて新たな知識を身につけながら、コミュニケーション能力の必要性に気づくことができた様子でした。
最後に、プログラム終了後に生徒から寄せられた「今回学んだこと」をいくつかご紹介します。
・今まではコミュニケーションをとることが苦手で抵抗があったけれど、今回周りの人とうまくコミュニケーションがとれた経験が、今後の自信に繋がると思う。
・一番の学びは、同世代の参加メンバーとの交流。どのようにコミュニケーションをとればいいのか、実践的に考えさせられる場面がたくさんあった。1泊2日という短い期間で、初対面のところからさまざまなことを語り合える仲にまで深められたことがとても嬉しかった。
・社会で生きていく上で、人との関わりは必要なものだし、周りの人と楽しくコミュニケーションをとることができるようになれば、自分自身にも社会全体にも大きな影響を与えると思った。
・より良い友人関係を円滑に築けるようにしていきたいと感じた。
「学校では教えてくれない!コミュニケーションの授業」シリーズでは、今後もコミュニケーションをテーマとしたイベントを実施予定です。
ぜひご注目ください!
※今後のイベントに関して、在校生の方は学園からのメール、一般の方は学園のホームページにて随時お知らせいたします。