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【体験学習レポート】菌糸っておもしろい!
東京・御茶ノ水キャンパスで行われた
サステナブルなものづくり体験

【体験学習レポート】菌糸っておもしろい!<br>東京・御茶ノ水キャンパスで行われた<br>サステナブルなものづくり体験

2025年3月、私たちは微生物研究の最先端を走る株式会社BIOTAの協力で、「菌糸(きんし)」を使ったものづくりに挑戦しました。

「菌糸」ってなに?

菌糸とは、きのこなどの菌類を構成する糸状の細胞のこと。実はこの菌糸、今、環境にやさしい次世代の素材として世界中で注目されています。断熱性や撥水性といった驚きの特性があり、持続可能な社会を実現するためのバイオマテリアルとして期待されています。
今回のワークショップには、生き物好きの生徒たちが東京・御茶ノ水キャンパスに集まりました。きのこ由来の菌糸を使ってランプシェードづくりに挑戦し、菌糸の不思議な力やものづくりの面白さに触れることができました。

ワークショップ1日目:菌糸でランプシェードづくり!

ワークショップ初日は、BIOTA代表の伊藤光平さんによる菌糸のレクチャーからスタート。伊藤さんは、都市にいる微生物の可能性を探る「都市環境微生物」研究の第一人者で、あの経済誌『Forbes JAPAN』の「世界を変える30歳未満の30人」にも選ばれたすごい方です。


伊藤さんからは、微生物が私たちの生活にどう役立つのか、そして菌糸が持つ意外な特性について教えてもらいました。
そしてこの日、私たちをサポートしてくれたのが、BIOTAでインターンをしている大学1年生の志村さん。なんと志村さんはN高の卒業生です。N高時代にBIOTAの課外授業で微生物に夢中になり、研究の道へ進んだそう。「好き」を追いかけるって素敵ですよね。


レクチャーの後は、いよいよ菌糸ランプシェードづくりに挑戦です。まずは菌糸に他の菌が入らないよう、手袋をつけ、しっかり消毒。カビの繁殖を防ぐのが菌糸を育てるポイントなんだとか。


いよいよ主役の菌糸ブロックが登場。みんなで協力しながら、大きな菌糸ブロックを丁寧に手でほぐしていきます。最初は初対面で緊張気味だった生徒たちも、手を動かすうちに自然と会話が弾み、あっという間に打ち解けていました。菌糸と一緒に、みんなの心もほぐれたようです。


ほぐした菌糸を型に詰める作業では、詰める量や隙間の有無で育ち方が変わるそう。同じ型を使っても、仕上がりはまさに十人十色。みんな真剣な表情で取り組んでいました。


しっかり詰め終わったら、ラップで蓋をして1日目の作業は終了。このあとは各自の家で、菌糸が固まるまで大切に育てます。生徒たちは、世界に一つだけのランプシェードの原型を抱えて帰路につきました。

菌糸の成長をみんなでシェア!

ワークショップ1日目からの1週間は、菌糸の育成記録をみんなで共有。学校のコミュニケーションツールであるSlackには、「菌糸に愛着が湧いてきた」という観察報告がたくさん投稿されていました。スタンプやコメントも飛び交い、さまざまな気づきが広がっていきます。


菌糸が白っぽく育つと、「これってカビ?それとも菌糸!?」と迷う声も。そんな時は、伊藤さんや志村さんがすぐにアドバイスをくれるので安心です。


ワークショップ2日目:菌糸の可能性を広げよう!

1週間の育成期間を経て、ワークショップ2日目も御茶ノ水キャンパスで開催されました。まずは自宅で育てた菌糸の発育状況をグループ内でシェア。置く場所の湿度や日当たりで成長に差が出たようで、観察結果をもとに活発な意見交換が行われました。ランプシェードは菌糸の成長によりますが、早ければ3週間ほどで完成します。

意見交換の後は、菌糸のさらなる活用法を考える時間です。既存の活用例を調べた上で、みんなでオリジナルの活用アイデアを発表しました。

すぐにでも実用化できそうな身近なアイデアから、夢いっぱいのユニークなプロダクトまで、自由な発想で多種多様な「菌糸アイテム」が生まれました。


菌糸は使い終わったら土に還すこともできます。この分解性に着目し、使い捨てが当たり前だったものに菌糸を応用しようとするアイデアも多く見られました。素材としての面白さだけでなく、持続可能な未来への意識や、これからの社会に必要な新しい価値観もしっかりと感じられました。

参加者の声

実際に菌糸に触れた生徒たちからは、多くの気づきや興味が広がったという声が寄せられました。

  • 「菌糸という存在を初めて知って、すごく好きになりました。きのこにも興味が出てきて、椎茸の栽培キットを買いました。これからはきのこや菌を意識して生活できそうです。」
  • 「菌類は普段の生活であまり目にしないので、教科書の中の存在というイメージが強かったです。でも今回、菌糸を素手で触って形にする作業を通して、なんだか愛着が湧きました。今も菌糸が成長し続けていて、その経過を見るのがすごく楽しいです。木のように、使えば使うほど味が出てくるのも魅力です。」
  • 「実際に菌糸の塊を崩すところから体験できたのが印象的でした。普段関わることがない生徒と交流する機会にもなり、初対面の人と協力するグループワークのやり方を少し掴めたように思います。」


最後に

今回のワークショップに参加した生徒はほとんどが初対面でしたが、微生物や科学への共通の興味をきっかけに、積極的にコミュニケーションを取りながら活動する姿が見られました。茨城県や福島県など、遠方から参加してくれた生徒もいて、出身地や距離を越えて自然と打ち解けていく様子も印象的でした。
「微生物でのものづくり」というユニークな体験を通して、菌糸や微生物の知識だけでなく、仲間と協力するスキルや、心に残る思い出も得られたのではないでしょうか。
これからも、みんなの興味が知識や経験に変わるような、さまざまな体験学習の機会を企画していきます。少しでも気になるプログラムがあれば、ぜひ参加してみてくださいね。

◆体験学習プログラムについて◆

N高グループの課外授業として実施。日本各地の自治体・企業・専門機関等と連携して多種多様なプログラムを実施し、普段の授業・映像授業だけでは得られないリアルな経験から生徒の知見や将来の可能性を広げられる機会を提供しています。近年では地方自治体、企業・団体と事業連携協定を締結し、共同でプログラムを実施することで、地域社会・産業の発展や地域人材の育成を目指す取り組みを進めています。
【体験学習の実施例】
https://nnn.ed.jp/learning/extracurricular_activities/workexp/

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