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本格VRシステムを使った「バーチャル入学式」を挙行
~2019年4月、新入生4,004名がN高に入学~
学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校(以下、N高)は、2019年4月4日(木)14時より、本格的VRシステム完備の映画館「新宿バルト9 シアター7」にて、第4期生を迎える「平成31年度 N高等学校 バーチャル入学式」を開催しました。2019年4月の入学者数4,004名を迎え、在籍生徒数は1万人を目前とした、9,727人となりました。
今年の入学式は、VAIO株式会社、東映株式会社、株式会社クラフターの共同事業「VRCC(VR Cinema Consortium)」が2019年4月に設置した本格的VRシステム完備の「新宿バルト9 シアター7」を使用した最初のイベントとして行い、52名の新入生が会場で参加しました。多人数同時鑑賞が可能な本格的VR設備を使用し、高性能VRヘッドセットと映画館サウンドによる高い没入感で初めて体験した生徒からは「驚きがたくさんあり面白かった」などの声が聞かれました。式の様子はニコニコ生放送でも「ネット入学式」として生配信を行い、全国の新入生はオンライン視聴やニコニコ動画特有の流れるコメントを通して参加しました。
式は、教育Vチューバ―「みみたろう」の司会の下、バーチャル世界の中で進行されました。これまでN高では、GearVRやホロレンズを使った入学式などN高の魅力の一つである最先端技術を取り入れ、“ネットの高校”ならではの入学式を行ってきました。今年はN高の学びと同様、入学式にも多様性を持たせるために一つの意味を定めず個別のカスタマイズを可能とする仮想現実空間のバーチャル入学式を執り行いました。
新入生がVRゴーグルを付ける際はみみたろうのかわいらしい声で「みんなVRゴーグル付けたことある?」の問いかけに対し首を振る新入生など掛け合いが見られました。
VRの操作は目線だけで完了し、自分の好きな席で参加することができます。隣の新入生を見るとほほ笑みかけてくれます。
N高の本校がある沖縄の伊計島のビーチに移動し奥平校長からの式辞で始まりました。「現在はインターネットのおかげで、“情報へのアクセス”が誰でも、手軽に行えます。学校で教えられたことを、たくさん記憶して、偏差値が高ければいい。そんな時代は終わりを迎えたのです。これからは、言われたことをできるだけではなくて、自分で考える力が必要なのです。自分から何かを発信したりできることが大切です。N高校は決まったことを学ぶ教室ではありません。自分が興味を持っていることをどんどん追求してみて、多くの学びや体験をしてください。」
その後場面転換をしながら、山中理事長、うるま市の島袋市長、伊計島の玉城会長から祝辞が送られました。
ここで、サプライズゲストとして2015年にノーベル生理学・医学賞を受賞した大村智教授からN高生へ祝辞が送られました。定時制高校の教師だった大村教授は、働きながらも熱心に学ぶ生徒の姿勢に刺激を受け、勉強をし直して研究の道へ進みました。N高生への祝辞では、一つ一つ積み重ねていくことの大切さを語りました。
「私事でもありますが、ノーベル賞を受賞した学者はきっと頭が良かったのだと、思われる人が多いと思われますが、私の場合は、自分は頭が良いと思ったことはありません。子供の頃から忘れ物の常習犯であり、国語や英語など、覚えなければならないことをすぐに忘れて身に付かない。この劣等意識をカバーして今日に至っているのには努力の積み重ねがあったと思います。
皆様が高校生として努力して、人間としての優れた資質を身につけられ、後々、人のために、また、社会のためになることを成し遂げることの生きがいを味わわれることをお祈りして挨拶を終えたいと思います。」
新入生代表宣誓は、原口沙輔さんが行いました。アーティストとして活動している原口さんがこの日のために作ったオリジナルBGMに乗せて、スクリーンに映るバーチャル奥平校長に向かい、N高へ入学した理由や入学してやりたいことを述べました。
「僕は物心つく頃から、とにかく音楽が大好きで、いつも頭の中は音楽のことでいっぱいでした。N高等学校の教育プログラムを使えば、僕の好きな音楽の時間を増やすことができると思いました。それともう一つ、僕は今、愛媛県に住んでいますが、音楽活動では東京での活動が多、愛媛にいても東京にいる時でも、パソコンや携帯でいつでもどこでも授業が受けられると思いました。僕は今後、海外でも活動していきたいのですが、このスタイルであれば海外にいても日本にいても、いつもと同じように授業が受けられます。この3年間を大事にして、思いっきり楽しみたいと思います!」
<「平成31年度 N高等学校 バーチャル入学式」概要>
【日時】 2019年4月4日(木)14:00~15:00
【場所】 新宿バルト9 シアター7(東京都新宿区新宿3丁目1-26 新宿三丁目イーストビル13階)
【司会】 みみたろう(教育系バーチャルYouTuber)
【登壇者】 山中伸一(学校法人角川ドワンゴ学園 理事長)
奥平博一(学校法人角川ドワンゴ学園 N高等学校 校長)、他 関係者
【式次第】
一、開会宣言
一、新入生(第4期生)紹介VTR
一、バーチャル奥平校長式辞
一、山中理事長挨拶
一、うるま市長・島袋氏からの祝辞
一、伊計島自治会長・玉城氏からの祝辞
一、バーチャル大村智教授祝辞
一、(バーチャル奥平校長とリアル生徒による)新入生宣誓
一、キャンパス・年間行事紹介VTR
【ニコニコ生放送(タイムシフト視聴可能)】https://live2.nicovideo.jp/watch/lv318884780
以下、奥平校長式辞、大村智教授祝辞、新入生代表宣誓の全文を掲載いたします。
奥平博一校長式辞(全文)
皆さん、N高校へ入学おめでとうございます。N高校を進学先として選んで頂いて本当にありがとうございます。教職員を代表してお礼を申し上げます。先月、できたてのN高校に入学を決め、3年間過ごして頂いた、一期生が旅立っていきました。皆様は、一期生から数えて、N高校の第4期生となります。N高校は、2016年4月に新しい学びのスタイルを提供するネットの高校として誕生しました。
今までの日本の教育は、指示されたことをミスなく、素早く、従順にこなせる人間を作ることを主眼においていました。そういう人材が必要とされる時代であったからです。表現を変えると「オリジナリティ」とか「人と違う視点」とかは要求されていません。むしろそんな人間は評価されなかったのです。疑問なく周囲と足並みを揃えて行動し、基本的な読み書き能力、理解力を高いレベルで備えている人間が求められていました。 それは間違っていたということではなく、時代に合っていたのです。かつて工業の時代であり、たくさんの平均的能力を持った人間を集積することで力を発揮する時代でした。しかし、もはやそんな時代ではないんです。昔は時代の変化も穏やかでした。江戸時代、多分、子どもころの世界とお爺ちゃんになった世界はそんなに変わらなかったと思います。しかし、今60代の私の子供の時代と現在の世の中は大きく違っています。今から30年前はまだまだ“情報”が貴重でした。たくさんの知識があったり、たくさんのことを覚えている人間が、重宝される時代だったのです。しかし、現在はインターネットのおかげで、“情報へのアクセス”が誰でも、手軽に行えます。30年前じゃ考えられません。つまり、たくさんの知識があることは、もう価値が薄れてきてしまっているのです。学校で教えられたことを、たくさん記憶して、偏差値が高ければいい。そんな時代は終わりを迎えたのです。これからは、言われたことをできるだけではなくて、自分で考える力が必要なのです。またこれからは、自分から何かを発信したりできることが大切です。N高校は決まったことを学ぶ教室ではありません。自分が興味を持っていること、興味を持ったこと、どんどん追求してみて、多くの学びや体験をしてください。N高校に枠組みなんてありません。皆さんの自由な活動によって、どんな形にでも変化していける学校です。また社会の動きにあわせて変化していく学校です。学校が何かを教えてくれる。ではなく、学校を使って何を学ぶのか自分で決めるのがN高校です。N高校伊計本校は、四方を海で囲まれた小さな島にあります。皆さんの未来も自由な未来の選択が四方を囲んでいるのです。小学校、中学校時代に様々なできごと、楽しい思い出は大切に、嫌な思い出にひきずられることなく、今日から新たな船出です。
さて、保護者の皆様、ご家族の皆様、ご友人の皆様、関係者の皆様。本日は、本当におめでとうございます。お子様が誕生された時の喜びから、小学生、中学生、そして今日から高校生となられます。大きくなったものだなぁと、また新たな喜びを感じられていると思います。N高校は、未来に向かって、生徒の皆様を送り出すのが仕事です。誰もが予想のつかない未来ではありますが、未来を創るのは、ここにいる新入生たち、皆様のお子様です。ぜひ、保護者の皆様におかれましては、これからの高校生活、一歩おいて見守るという姿勢をもって頂ければ幸いです。
新入生の皆様、あらためて、入学おめでとう。今日から君たちは、我がN高生です。N高等学校は、全力で皆様を歓迎いたします。
大村智教授祝辞(全文)
皆様、こんにちは。大変独創的な教育体制をしかれている、学校法人角川ドワンゴ学園 N高への入学式を迎えられた皆様、本日は誠におめでとうございます。皆様にメッセージをお送りする機会を頂きましたこと、大変光栄に存じます。
私は大学を卒業して都立工業高校の定時制で五年間教員をしておりました。その折、昼は近隣の町工場で働き、仕事が終わった後で手を洗う時間も無く駆けつけて、油の付いた手で試験の答案用紙に向かっている生徒に触発されて勉強をやり直すことにし、努力を重ねて研究者の道に入って来ました。その教員の時に絶えず生徒に言ってきたことは、良い仲間を持つようにしてください、ということでした。同じことを皆様にもお勧めしたいと思います。在学中もまた実社会にあっても、良い仲間に出会うことは学問であっても、仕事であっても、一人で取り組むより、共に学び行動する仲間のいることが大事であります。良き仲間と共に、研鑽(けんさん)を積んでいると、人間として最も重要な資質である仁、すなわち、誠実さや思いやりの心を身につけることができると思います。良き友は、人生のかけがえのない宝でもあります。諸君の将来には楽な道、困難な道が次々と展開してくることと思われます。そして、ほとんどの人々は楽な楽しい道を目指すようになります。ところが、成功した人は困難な道を選び、挑戦して、何回も失敗を重ねながらも目標を達成しております。そして、成功した人は意外にも楽天家でもあります。第二次世界大戦において、ドイツの猛攻にあいながらも国民を鼓舞し続け、やがて戦勝へと導いた英国の首相、ウィンストン・チャーチルは「悲観主義者はあらゆる機会の中に困難を見出す。楽観主義者はあらゆる困難の中にチャンスを見出す」と言っています。また、「失敗は成功の基」ということが言われます。発明王、トーマス・エジソンは、数々の発明と現在に続くゼネラル・エレクトリック(GE)という会社を設立するなど、歴史上、世界の出世頭のひとりでありますが、電球を発明した折に彼は「私は今までに一度も失敗したことがない。電気が光らないという発見を二万回も成し遂げたのだ」と言っています。失敗の重ねがあってこその成功であったことを、つまり、失敗は失敗ではないのだ、ということを言っているのであります。何かをやろうとすると、一度でうまくいくことはめったにありません。そこで、つい失敗を恐れて手付かずで終わることが多いのです。映画、「誰がために鐘は鳴る」や「カサブランカ」等に主演した世界の名女優と言われた、イングリッド・バーグマンは、「私の人生を振り返って見て、できなかったことには後悔しない。やらなかったことについて後悔する」と言っています。諸君には将来の社会をイメージして、その中で自分はどのような役割を果たせるかといった、自身の目標を定め努力し、勉学に励んで頂きたく思います。
私事でもありますが、ノーベル賞を受賞した学者はきっと頭が良かったのだと、思われる人が多いと思われますが、私の場合は、自分は頭が良いと思ったことはありません。 子供の頃から忘れ物の常習犯であり、国語や英語など、覚えなければならないことをすぐに忘れて身に付かない。この劣等意識をカバーして今日に至っているのには努力の積み重ねがあったと思います。
過日、郷里の山梨県出身の科学者のことを調べている折に東京タワーや各地のテレビ塔、そして大阪の通天閣を設計するなど、耐震建築の第一人者で、文化功労者でもあった、故内藤多仲の言葉が出身地の山梨県南アルプス市曲和田の旧小学校跡地の石碑に刻まれているのを見出し、我が意を強くしました。
その石碑には「積み重ね、つみ重ねても、また、つみかさね」とありました。努力の重要なことを、子供達にタワーの設計者らしい言葉で語りかけているのです。
最後に、皆様が高校生として努力して、人間としての優れた資質を身につけられ、後々、人のために、また、社会のた
めになることを成し遂げることの生きがいを味わわれることをお祈りして挨拶を終えたいと思います。 ご清聴頂きありがとうございました。
新入生宣誓 原口沙輔さん(全文)
本日は僕たちN高等学校第4期生のために、このような世界でも類を見ない独創的な入学式を行なっていただき、ありがとうございます。
新入生を代表をして宣誓を行ないます。
皆さん、人生って一度きりですよね。
たった一度の人生を
『思いっきり好きなことをして生きていきたい』
そう誰もが思っていることでしょう。
僕は物心つく頃から、とにかく音楽が大好きで、いつも頭の中は音楽のことでいっぱいでした。幼稚園、小学校、そして中学生になるにつれ、心に強く思ったことがありました。
それは
『もっと自分の好きなことをする時間が欲しい!』
一日の起きている半分以上の時間を学校で過ごし、特に中学校では、自分のやりたいこと、やるべきことへ使う時間が足りず、自分が思うように好きな音楽ができない日々の中、常にそのことに対する欲求と戦いながら過ごしていました。
中学2年生になった頃から、あるきっかけで音楽活動が忙しくなって、東京へ行くことも多くなり、益々音楽へ使う時間が欲しくなっていきました。そんな時にN高等学校の存在を知り、僕は思いました。
『N高等学校の教育プログラムを使えば、僕の好きな音楽の時間を増やすことができる』
それともう一つ、僕は今、愛媛県に住んでいますが、音楽活動では東京での活動が多く
『愛媛にいても東京にいる時でも、パソコンや携帯でいつでもどこでも授業が受けられる』と思いました。
僕は今後、海外でも活動していきたいのですが、このスタイルであれば海外にいても日本にいても、いつもと同じように授業が受けられるので、僕の活動とN高等学校の授業スタイルがとても合っていると思いました。
僕は本当にいいタイミングでN高等学校に出会えたと思っています。
新入生の皆さんの中にも、僕と同じような悩みを抱え、苦しんでいた人がいるかもしれません。皆さんもこのN高等学校に入って、自分の夢や目標に使う時間を増やすことができると思います。これからの3年間で自分の好きなことを沢山して、それを将来、自分の仕事や生きがいにできるよう一緒に頑張っていきましょう。
この3年間を大事にして、思いっきり楽しみたいと思います!
平成31年4月4日 新入生代表 原口沙輔
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